第1子の妊娠を自身のブログで報告した衆議院議員の鈴木貴子氏(31)が、2日後の14日、再びブログを更新し「多くの温かいコメントに感謝の気持でいっぱい」である一方、「中には正直、簡単に受け入れられない、もしくは受け入れることは如何なものか、というコメント」もあったことを打ち明けた。

まず、鈴木氏が妊娠報告を行った、12日付のブログ。
その際に鈴木氏は、現在切迫早産のため安静療養中の身であることも併せて記している。

「実は今月に入ってすぐの検診で、切迫早産との診断を受け安静生活を続けております。
(中略)出席予定だった会合や、案内を頂いている各種会合も欠席、最期のお別れなどにも参列できず、各方面にご迷惑をおかけしております。本当に心苦しく思っております。お陰様で赤ちゃんは順調に成長してくれています(中略)毎週月曜日の朝の挨拶、週末のイベント、各種会合や式典など皆様にお会いすることは今すぐは難しいかもしれませんが、何卒ご理解のほど、よろしくお願い致します」

そんな鈴木氏が、「受け入れられない」ようなコメントがあったことを、「“一旦辞職すべき”“職務放棄” 〜国会議員の妊娠〜」というタイトルの記事で綴っている。

「だから女性議員っていうのは・・・」
「任期中の妊娠はいかがなものか」
「一旦辞職すべきだ」
「職務放棄ではないか」

自身のもとにこういった意見が届いたこと、様々な意見があることは承知の上で、鈴木議員はこう述べた。

「国民の代表としての責任、公人としての立場もあります。
しかしながら、女性が妊娠することがそれらを放棄している、という考えには、私は承服しかねます」

「同僚国会議員や地方議員、もしくは議員を目指していらっしゃる女性、職業は違えど働く女性に同じような思いをして欲しくない、
国のこれからを考え行動する立場にある者として『ショックだ』『悲しい』『残念だ』で終わらせてはいけない、と思っています」

女性議員の妊娠に対する世間の風当たりを深刻に受け止めている様子が伺える。
鈴木氏の元に届いた妊娠を批判するような声が、どれほどの量だったのかは不明だが、妊娠中、それも切迫早産で安静を余儀なくされている身にとって相当なストレスだろうことは間違いない。

■ 「迷惑だ」の根拠

“妊娠批判”が、著名人に対して向けられることはしばしあり、たとえば2014年に松たか子が妊娠報告を行った時にもひどく目に付いた(では、松たか子はいつ妊娠すればよかったのか?)。
妊娠判明によって仕事をキャンセルせざるを得ない際には「無責任」「わがまま」だとバッシングが起こる。
経営者、雇用側が「迷惑だ」と断じることもあれば、いち消費者であり部外者のはずの人々までなぜか「非常識」と石を投げる。

少子高齢化のご時世に産まない選択をするのはわがまま、妊娠で仕事に支障をきたすのもわがまま……。
その、女性の身の振り方への干渉・要求こそがわがままである。

仕事の進捗状況や周囲に及ぼす影響を綿密に計算した上で妊娠しろとの論調は、ムチャぶりも甚だしい。
授かりものという言葉もあるように、狙い通りに妊娠できることが“普通”ではない。
都合の良いタイミングで妊娠したらラッキーなだけだ。

妊娠・出産はまず、自分やパートナーの意思や身体状況が問題になるが、必ずしも当事者たちの意思でどうこうできるものではない。
双方が望んでもなかなか妊娠しなかったり、あるいは望んでいないのに避妊に失敗して妊娠することだってあり、コントロールは容易ではない。
また、「仕事の進捗状況や周囲に及ぼす影響を綿密に計算した上での妊娠計画」について、NHKの小野文惠アナウンサーが、昨年2月放送の2月13日午前にNHK総合で放送された『週刊ニュース深読み』の「子どもは欲しいけれど…不妊治療 理想と現実」でこうコメントしている。

「20代30代の、今、もうちょっと仕事頑張らないとっていう時期、産めるような社会でもなかったですよね?」(NHK不妊治療特集「捨て石に」発言の波紋)

妊娠を「迷惑」視する理由は、その先に待つ出産に際して母体が仕事を休む必要があること、さらに連続して始まる子育ての期間においても「以前のように仕事ができないこと」で、周囲に迷惑を及ぼすという見方があるのだろう。
しかしそれは主に女性が「育児か仕事か」の二択を迫られるからであり、また、多くの職場で「仕事は全身全霊で」の主義主張があたかも社会規範であるかのようにまかりとおっているせいではないだろうか。

http://wezz-y.com/archives/49399

※続きます