http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170717/k10011062211000.html?utm_int=news-new_contents_list-items_011

記録的な豪雨によって大きな被害を受けた大分県日田市の小野地区で、自治体からの防災情報を知らせるため住宅内に設置された端末の機能が停止して、結果として300余りの世帯に避難指示の情報が十分伝わっていなかったと見られることが市の調査でわかりました。土砂崩れで通信ケーブルが切れたことが原因だということで、市は改善策を検討したいとしています。
大分県日田市では、屋外の防災行政無線の放送が大雨や強風で聞こえなくなった場合に備えて、市が運営するケーブルテレビの加入者には住宅内に専用の端末を設置し、防災情報を音声で提供しています。

しかし、記録的な豪雨によって大きな被害を受けた日田市小野地区では、当時、この端末の機能が停止していたことが市の調査でわかりました。

市によりますと、今月5日の午後6時半ごろに小野地区で通信設備に何らかの異常が起きたというシステム上の警告があり、およそ50分後に地区内での通信の機能が完全に停止していることを市の担当者が確認したということです。

小野地区に避難指示が出されたのは、システム上の警告があった直後の午後6時45分で、日田市はすでにこのときには、地区内の端末の機能が停止していた可能性が高いとしています。

避難指示については防災行政無線でも周知が図られましたが、市は「激しい雨音にかき消された可能性が高い」としているほか、地区の複数の住民もNHKの取材に対して「聞こえなかった」と証言していて、結果として端末を設置している300余りの世帯に避難指示の情報が十分伝わっていなかったと見られています。

市によりますと、端末の機能の停止は情報を配信するためのケーブルが土砂崩れによって切れたことが原因だということです。

これまでに復旧作業はほぼ終えたということですが、日田市は避難情報を伝達するうえでの課題が浮かび上がったとして、改善策を検討したいとしています。

【福岡 東峰村は全世帯に受信機貸与】

一方、福岡県東峰村では村内に設置された防災行政無線のスピーカーの1つが土砂に流されて機能しなくなっていたことが村への取材でわかりました。村はすべての世帯に無線の放送が流れる受信機を貸与していて、避難勧告などの情報伝達は迅速に行われたとしています。

東峰村では災害時に気象や避難に関する情報を伝えるため、村内の30か所に防災行政無線のスピーカーを設置しています。しかし、村によりますと、今月5日の記録的な豪雨で大規模な土砂崩れが発生した屋椎地区に設置されたスピーカーは土砂に流されて機能しなかったということです。

一方、村では大雨の際には放送が聞こえにくい場合があり、複数の伝達手段を設ける必要があるとして、無線の放送が流れる受信機をすべての世帯に貸与していて、避難勧告などの情報伝達は迅速に行われたとしています。

東峰村福井に住む75歳の女性は1人で自宅にいたところ、テレビの横に置いた受信機から流れる放送を聞いて避難したということです。

女性は「よく聞こえるようにふだんから受信機の音量を最大に設定しています。当時は雨と雷の音で屋外の防災行政無線の放送がだんだん聞こえなくなったので、家の中に受信機があって助かりました」と話していました。

【福岡 朝倉 7か所で防災行政無線が故障】

記録的な豪雨で大きな被害を受けた福岡県朝倉市で、市内に設置された少なくとも7か所の防災行政無線のスピーカーが故障していたことがわかり、市は今後、携帯電話のエリアメールなど、複数の方法で情報を伝えたいとしています。

朝倉市は市内116か所に防災行政無線のスピーカーを設置し、今月5日の豪雨の際にも避難勧告や避難指示を呼びかける放送を流しました。ところが、市が今月10日にスピーカーを点検したところ、高木地区の3か所と松末地区の4か所の合わせて7か所が故障していたということです。

市が今月5日に確認した際には正常に作動していたということで、市は大雨や土砂で電線が切れたことによる停電が故障の原因と見ています。

すでに一部のスピーカーは復旧しているということで、朝倉市消防防災課は「大規模災害時に故障を防ぐのは難しく、携帯電話のエリアメールなど複数の手段を使って情報を確実に伝えたい」としています。

7月17日 17時13分