ヒアリなど有害な外来昆虫が問題となる中、群馬県館林市などで中国や韓国、台湾が原産の「クビアカツヤカミキリ」による被害が広がっている。
人体には問題ないが、産み付けられた幼虫が木の内部を食い荒らし、枯死に至らしめる。

被害が深刻なのがサクラ、それも日本人の愛するソメイヨシノだ。
館林高校では名物の並木27本が被害に遭い伐採が検討されている。
しかも一部昆虫マニアが採集に動き出すなど、拡散の恐れもある。

クビアカツヤカミキリは体全体が光沢のある黒で首の部分が赤いのが特徴。
体長22〜38ミリと大型で繁殖力も強い。

サクラのほかモモなどの木に卵を産み、幼虫が2、3年かけ成長する間に内部を食い荒らし、木は樹勢が衰え枯死に至るケースが多い。
日本産では枯死になることはないという。

国内では平成24年に愛知県で確認され25年に埼玉、27年には群馬や徳島、東京、大阪、さらに栃木で確認された。
27年3月、環境省および農林水産省が作成した「生態系被害防止外来種リスト」に記載し、注意を呼びかけている。

群馬県内では27年7月、館林市で初めて確認され、2年後の今月、東毛地域のモモ、スモモ、ウメの果樹園でも見つかり被害の拡大が心配されている。
同市や県は発生数の県別比較はしていないが、インターネットなどによると、館林の発生数はかなり多いようだ。

館林高校(斉藤正章校長)では27年、校門前のソメイヨシノの並木で見つかり翌28年5月、木の内部に殺虫剤を注入、樹木の根元から防虫ネットで覆い羽化して出てきた成虫の拡散を防ぐ対策をとってきた。
だが今年6月から成虫が発生し始め、ピークは過ぎたものの今月中旬になっても木から出てくるという。

樹木周辺にはフラス(糞と木くずが混ざったカリントウ状の黄色い排泄(はいせつ)物)が無残に散らばっていた。
校門に並ぶ名物の並木28本のうち「ソメイヨシノ27本すべてが被害にあい(無事の1本はヤマザクラ)、うち4本は枯死し、校内の別な4本も被害を受け深刻な状態」(同校の石橋厚子事務長)。

枯死した木が倒れ生徒らに被害が及ばないよう、すべてのソメイヨシノ伐採も検討中だが「愛されてきた存在なので同窓会とも相談しないと」(同)。
学校も苦慮している。

市では拡散防止のためフラスが落ちている木を見つけたら、市に連絡するか指定殺虫剤を散布、または捕殺するようホームページなどで呼びかけている。
ところが、「館林高の桜並木に珍しいクビアカツヤカミキリが大量発生」とのネット情報に一部昆虫マニアが反応、全国各地から集まり、採集して持ち帰るという厄介な事態も起きている。

実際、現場で採集にいそしむ60代の男性の姿も。
栃木市から来たといい「何回か採集にきた。今日は20匹くらい採れた」と興奮気味に話していた。
市内には鶴生田川などサクラの名所が複数あり市は拡散防止に躍起なだけに、マニアの行為に「拡散を助長するだけなので、採集は控えて」と呼びかけている。

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