http://www.jiji.com/jc/article?k=2017072101322&;g=soc

海洋研究開発機構などの研究チームは、初期の地球に似た過酷な環境の地下深部に生息する微生物群を発見した。
普通の微生物にあるエネルギー産生の仕組みを持たず、岩石からエネルギーを得ている可能性もあるという。
地球の生命誕生や、火星など地球外生命の可能性を探る手掛かりになると期待される。論文は21日付の英科学誌に掲載された。

 約40億年前の地球では、地下のマントルを構成するかんらん石と水が反応し、微生物の栄養源となる水素などが発生したと考えられている。
しかし、こうした環境は強いアルカリ性で、呼吸に必要な酸素なども乏しいため、生命がどのように誕生し、進化してきたかは謎のままだ。

 海洋機構高知コア研究所(高知県南国市)の鈴木志野特任主任研究員らは、米カリフォルニア州のかんらん石が多い地層で、
地下深部から湧き出る水を採取。含まれていた微生物のDNAを分析し、79種類の全遺伝情報(ゲノム)を得た。

 このうちOD1と呼ばれる細菌の仲間は、ゲノムのサイズが大腸菌の約10分の1と小さく、
多くの生物が持つ呼吸や代謝、ATPと呼ばれるエネルギー産生の仕組みなどに関する遺伝子がなかった。
採取した湧水はアルカリ性が強いなど微生物には過酷な環境だったが、OD1は湧水に含まれる細かなかんらん石の表面に付着して生息していた。