改正青少年インターネット環境整備法が、2017(平成29)年6月に国会で可決・成立しました。
18歳未満の子どもたちが使用するスマートフォン(スマホ)などで有害情報を利用できないようにするフィルタリングを強化することが改正の柱となっています。子どもたちとスマホの関係は、どう変化するのでしょうか。

■ガラケー前提が時代に合わず

青少年ネット環境整備法は、2008(平成20)年に制定された法律で、子どもの携帯電話(ケータイ)などにフィルタリングサービスを義務付けるのが目的でした。
しかし内閣府の調査によると、ケータイに代わりスマホが普及して、2016(平成28)年度では高校生の94.8%、中学生の51.7%がスマホを使用しています。

その一方で、フィルタリングを「知っている」と回答した保護者は2011(平成23)年度で73.5%でしたが、16(同28)年度は59.9%と逆に減っています。
スマホの普及に伴いフィルタリングの認知度が低下したことがうかがえます。なぜでしょうか。

それは従来のいわゆるガラケーがあくまで「電話」であったのに対して、スマホはインターネットに接続することをメインとした「情報端末機器」であるという大きな違いがあるからです。
ガラケーと異なり、スマホにフィルタリングを掛けるのは、面倒な手順が必要となるうえに、子どもたちに人気のアプリなどが使えなくなるなどの不便が生じる可能性もあります。
このため、購入する保護者からもフィルタリングが敬遠されることになりました。

青少年ネット環境整備法は、ガラケーを前提とした内容だったため、スマホ全盛の時代に必ずしも対応できなくなりつつありました。そこで、スマホの時代に合わせた規制を設けることにしたのです。

■製造業者にもインストールの措置求める

改正された内容を見ると、まず、販売店などに利用者の年齢を確認することを義務付けます。さらに、フィルタリングサービスの内容を説明することも義務付けられました。
これまでも同様の内容は販売店などで行われていましたが、契約者が保護者名義だったりした場合は、フィルタリングの説明などは省略されることも多かったようです。

しかし、改正法では、契約者が保護者名義でも使用者が子どもならば、フィルタリングサービスに関する説明を子どもまたは保護者に行うよう義務付けました。

スマホなどの製造業者に対しては、フィルタリングソフトを最初からインストールしておくか、フィルタリングソフトのインストールを簡単な操作で行えるようにすること(フィルタリング有効化措置)を義務付けます。
この他、スマホのOS(基本ソフト)の開発業者に対しても、フィルタリングソフトの導入と利用を容易にするOSを開発するように求めた努力義務を課しています。

販売店などでの青少年の利用確認、フィルタリングの説明の義務付けなどは、どの程度の実効性があるかは不透明ですが、スマホ製造業者に対するフィルタリング有効化措置の義務付けは、大きな影響を及ぼすと予想されます。
改正青少年インターネット環境整備法は今後、関係省令などの制定を経て、2018(平成30)年4月から施行される予定です。

具体化されれば、子どもによるスマホの利用環境が大きく変化するかもしれません。とはいえ、その前にスマホとフィルタリングの関係を保護者自身が勉強しておくことが大切だといえるでしょう。

※青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律の一部を改正する法律

(筆者:斎藤剛史)

(提供:Benesse教育情報サイト)

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産経ニュース
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