政府は、北朝鮮が28日深夜に発射した弾道ミサイルはICBM=大陸間弾道ミサイル級で、日本の安全保障に対する深刻な脅威だとして、アメリカ、韓国とともに、中国やロシアを含めた国際社会に北朝鮮への圧力強化を呼びかけていく方針です。一方、今回の発射は、稲田防衛大臣が辞任した当日だったものの、政府は防衛大臣を兼務した岸田外務大臣の指揮の下、対応に支障は出ていないとしています。
28日午後11時42分ごろ、北朝鮮中部から発射された弾道ミサイル1発は、3500キロを大きく超える高度に達して、およそ45分間飛しょうし、奥尻島の北西およそ150キロの日本のEEZ=排他的経済水域内に落下したと見られ、防衛省は、最大射程は少なくとも5500キロを超えると推定されるとして、ICBM=大陸間弾道ミサイル級と見て、詳しい分析を進めています。

これについて、安倍総理大臣は、「北朝鮮に対して厳重に抗議し、最も強い言葉で非難する。北朝鮮がこのような挑発行動を続けるかぎり、米国や韓国をはじめ、中国、ロシアなど国際社会と緊密に連携し、さらに圧力を強化していくほかない」と述べました。

政府は、今月4日に発射されたICBM級の弾道ミサイルに続き日本の安全保障に対する深刻な脅威だとして、直ちに外交ルートを通じて、北朝鮮に対し厳重に抗議しました。

そして、外務省の金杉アジア大洋州局長が、アメリカ国務省のジョセフ・ユン特別代表、韓国外務省のキム・ホンギュン朝鮮半島平和交渉本部長と相次いで電話で会談し、北朝鮮に最大限の圧力をかけていく必要があるという認識で一致しました。

政府は、アメリカや韓国とともに、北朝鮮への一層の圧力強化を国際社会に呼びかける方針で、国連安全保障理事会でさらに厳しい制裁措置を含む決議の採択を目指し、特に北朝鮮と関係の深い中国やロシアに対し、働きかけを強めることにしています。

また政府は、さらなる挑発行為が続く可能性も十分にあるとして、高度な警戒体制を維持し、国民の安全確保に万全を期していくとしています。

一方、今回の弾道ミサイルは、稲田防衛大臣が辞任した当日の発射となり、防衛大臣を兼務する岸田外務大臣は、未明に開かれたNSC=国家安全保障会議に出席したあと、午前1時すぎ防衛省に入り、関係幹部会議を開くなどして情報の収集や分析に当たりました。

これについて、菅官房長官は、NSCの会合には防衛副大臣も出席しており、岸田大臣の指揮の下「支障は全く出ていない」と述べたほか、岸田大臣も「防衛省、外務省が一体となって全力で取り組んでおり、空白があったというようなことはないと考えている」と述べました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170729/k10011079531000.html