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3. 糖尿病治療における炭水化物制限の意義と課題
2 型糖尿病の治療には、体重の適正化が第一義的な意味をもつ。
肥満者の減量を目的とした食事療法について、主として脂質を制限すべきか炭水化物を制限すべきか、欧米では歴 史的に長い論議がある。
これは、炭水化物摂取量を 50g/日以下とするアトキンスダイエッ トの是非論に象徴されているが、
2003 年の Foster らの報告( 11 )、2004 年の Stern らの報 告( 12 )は、国際的な一流誌に掲載されたことから注目を浴びた。
両研究ともに、BMI30 以 上の肥満者に 50~60g/日を目指す炭水化物制限を指導し、
エネルギーを自由に摂取させた ところ、総エネルギー制限と脂質制限を指導した群より 6 ヵ月目で有意な体重減少をきた したとしている。
しかし、2006 年に報告されたメタ解析は、
低炭水化物食は 6 ヵ月までに有意な体重減少 をもたらすが、
1 年で両群に差はなくなり、低炭水化物食では血中 LDL コレステロールの 増加をきたすと指摘している( 13 )。