静岡市葵区のクラフトビール醸造所「アオイブリューイング」が、同市駿河区の長田地区で栽培された桃を使ったビール「桃セゾン」を開発し、数量限定で販売している。

 収穫前に落下するなどして、出荷できない桃を活用した。

 桃セゾンは、桃を皮ごと麦汁で煮出し、酵母を用いて発酵させた。夏に好まれるドライな飲み口に、桃のほのかな甘み、豊かな香りが際立つビールに仕上がった。

 ビール造りは、静岡商工会議所などが昨年行った交流会をきっかけに実現した。長田地区の桃は5月下旬から出荷が始まり、露地栽培の桃としては、全国でも出荷時期が早いことで知られる。だが、落下したり、傷ついたりする桃が大量に出るという。今回はこの出荷できない桃100キロ・グラムを使い、ビール約500リットルを完成させた。
 アオイブリューイングの満藤直樹代表(48)は、「桃の甘みが合わさり、この季節にぴったりのビールに仕上がった」と胸を張った。

 生産者の杉山貴勇さん(63)は、「出荷できない桃も出荷する桃と同じ思いをかけて育てているので、ビールになるのはありがたい」と話した。長田地区の桃は、首都圏や愛知県に出荷し、県内ではほとんど販売されていないため、「ビールを通じて、長田の桃を県内の人に知ってもらいたい」とも期待する。

 桃セゾンは330ミリ・リットルビン入りで、税別480円。500本限定で、市内のスーパーや酒屋で販売する。

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