長野県松本市の松本城公園で2014年から毎年9月に開かれてきた「クラフトビールフェスティバルin松本」が今年は開催されないことになった。
市教委が史跡で飲酒を伴うイベントを開くことを問題視したため、飲食店主らでつくる実行委員会(青山織人会長)は開催を断念した。実行委は「毎年楽しみにしてくれる皆さんに申し訳ない」と残念がっている。

フェスティバルは県内外のクラフトビール(地ビール)店が集まり、食材とともにビールを提供するイベント。過去3回で延べ約5万人が来場した。
実行委は今年も開催を準備していたが、7月28日に「松本市教委の自粛要請を受け、17年の開催を断念した」と発表した。

断念理由に挙げたのが、市教委が松本城公園の利用に関する内規を4月に変更したこと。教育委員の協議会で3月に承認され、決まった。
従来、公園利用を制限する対象として「史跡松本城の品格にふさわしくない行為」と定めていた。変更後は「現在、開催を許可しているイベントの中には、飲酒や酒類販売を伴うものがある」とした。
さらに公園の周囲で堀の復元と道路整備が進められていることに触れ「適切な開催場所が確保されるまでの間は、これ以上規模が拡大しないよう自粛を要請していく。
新たな同種のイベント開催要望についても同様に自粛を要請していく」と追加した。

内規には、飲酒イベント自体が開催できないとは書いていない。しかし、実行委は昨年末に市教委から「来年は開催できない可能性がある」と伝えられたという。
7月24日に実行委と市の松本城管理事務所、観光温泉課が話し合いをもったが、実行委側は「開催自粛を求められた」としている。

実行委の飲食店主や酒類販売業者の間では「お酒を楽しむのは『品格がない』ということなのか」と市教委に対する反発が広がった。過去3回、会場で飲酒が原因のトラブルはなかったという。

実行委は31日に坪田明男副市長や市教委の担当者と面談し、経緯をたずねた。
市教委側は「飲酒することを『品格がない』と言っているのではなく、誤解があった」と釈明し、内規の解釈や開催可否の伝え方について「市役所内で調整不足があった」と反省の言葉を述べた。
青山会長は「まるっきり拒否という状況は越えられた」と受けとめたが、今年は準備が間に合わないため、実施を見送るという。
来年は松本城公園で再開できるかどうか、市教委と話し合う予定だ。【小川直樹】

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