大阪府摂津市の東海道新幹線で7月、架線の張り替え作業で使った滑車を1個撤去し忘れ、架線に固定したままの状態で丸1日、列車を走らせていたことが分かった。
JR東海は始発前に気付いたが、架線に堅く固定されている上にパンタグラフにも触れない位置だったため、安全に支障はないと判断。終電まで社員が交代で滑車を見張ったという。

同社によると、同市鳥飼八町の下り線約2キロ分の区間で7月25日夜〜26日早朝、3本ある架線の一番上の「ちょう架線」を取り換えた。
新しい架線に滑車110個を約15メートル間隔で固定し、古い架線にぶら下げる形で滑車を走らせて新たに張る作業で、滑車は1個につき重さ約700グラム、長さ約20センチ。

作業後、係員が架線を確認した際に滑車を見逃し、現場から離れて機材などをチェックした際に1個の不足に気付いた。現場に戻って滑車を発見し、新幹線総合指令所に報告した時は午前6時を回っていた。

始発は京都駅6時56分発、新大阪駅7時10分着予定。滑車を外すには電気を止める必要があるため、同社は安全性を検討。6時20分に「他の設備と同等に強固に固定しており、運転に支障はない」と判断し、滑車は終電後に取り外した。

同社関西広報室は「念のため現地で社員が滑車を監視した。列車に遅れはなく、安全に支障もなかったため公表しなかった」としている。【根本毅】

配信2017年8月1日 15時00分
毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20170801/k00/00e/040/314000c