急増する児童虐待への通報に対応するため、厚生労働省が、子供も多く利用する会員制交流サイト(SNS)から通報や相談の受理を検討していることが4日、分かった。現在、全国的な受け付けは電話のみで、虐待を受けた子供本人からの通報はごくわずかしかない。近隣住民も含めて、通報のハードルを下げ、声なき声を拾う。

児童虐待の通報や相談は現在、24時間体制の全国共通ダイヤル((電)189)で受け付けている。固定電話でかけると、全国に約200カ所ある児童相談所(児相)のうち、近隣の児相につながる仕組み。

 厚労省によると、LINE(ライン)やツイッターなどSNSの幅広い普及で、電話通報と実態のミスマッチがある。SNSの導入に向けては、セキュリティーやプライバシーをどう守れるかが課題になるという。受理した通報は、いたずらが含まれている可能性もあり、見定めた上で児相などが対処する。

 厚労省のまとめによると、全国の児相が対応した児童虐待は平成27年度に初めて10万件を超えた。調査を開始した2年度から25年連続で増加を続けている。

 27年度の福祉行政報告例によると、児相への通報者は、警察が3万8524件で最多。関係者からの通報が警察を迂回しているとみられる。近隣・知人(1万7415件)、学校(7546件)からの直接通報も多い。

 しかし、虐待児童本人からは930件で、全通報件数のわずか1%に満たない。低年齢で電話が使えないか、電話で話しにくい環境に置かれていることが原因とみられるという。

2017.8.5 07:18
http://www.sankei.com/smp/affairs/news/170805/afr1708050002-s1.html