外交を司る国務省は、北朝鮮空爆には反対だという。
「ティラーソン国務長官は、『自分が平壌へ大統領特使として行ってもよいから、大統領の物騒な考えを思いとどまらせる』と言っている。
8月1日の会見でも『われわれはあなた方(北朝鮮)の敵でも脅威でもない』と強調している。
もしトランプ大統領があくまでも強硬策に出る気なら、その前にティラーソン国務長官も辞任するのは確実だ」

トランプ政権で北朝鮮空爆に反対しているのは、ティラーソン国務長官ばかりではない。
マティス国防長官もまた、反対だという。
アメリカ軍が平壌を空爆すれば、北朝鮮の反撃は必至で、「ソウルが火の海になる」リスクが高まるからだ。
1994年の第一次北朝鮮危機の際にアメリカ軍が行った評価見積もりによれば、北朝鮮との最初の3か月の戦闘によって、アメリカ軍の死傷者数は5万2000人となっている。
加えて軍人の家族など、アメリカの民間人も8万〜10万人が死亡するという。
アメリカにとって北朝鮮との戦争は、アフガニスタン戦争やイラク戦争の比ではないのである。
(週刊現代 2017年8月19・26日号)より