東芝は10日昼、公表を延期していた2017年3月期の有価証券報告書(有報)を関東財務局に提出し、綱川智社長が同日午後、都内の同社本社で記者会見した。焦点だった監査法人の意見は、PwCあらた監査法人が、決算内容をおおむね妥当とする「限定付き適正意見」とし、社内の管理体制を示す内部統制は「不適正」とした。綱川氏は「貸借対照表は適正との意見で、当社決算は正常化した。正常化で課題の一つが解決できた」と述べた。

 公表された有報の内容は、6月下旬に示した暫定的な決算と大きな変更はなく、17年3月期の純損益は9656億円の赤字、債務超過額は5529億円。綱川氏は「(半導体)メモリー事業の外部資本導入(株式売却)で債務超過回避を目指す」とした。株式売却は、政府系の産業革新機構など「日米韓連合」との交渉に手間取っており、綱川氏は「それ(日米韓連合)以外の交渉先とも交渉する」としたうえで、「可及的速やかに(契約を)締結し、譲渡完了に向けて最善を尽くす」とした。

 また、東芝は不正会計問題で、東京証券取引所が内部管理体制を審査する「特設注意市場銘柄」に指定され、依然として上場廃止のおそれがある。綱川氏は「審査を受けているが、注意銘柄の解除に向けて誠心誠意取り組む」と述べた。
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