>>1続き

■問題の本質に迫る実態調査を

ひきこもり女性が見すごされてきた理由は、国の調査が若者支援などを理由に表面上の枠組みに則って進められたものだからだろう。

そもそもひきこもりが社会問題化した90年代後半から国は「ひきこもりの定義」に揺れていた。上限年齢や疾病の有無など、その定義は現在に至るまで細かく変更され続けたが、そのたびに「対象からこぼれ落ちる存在がいる」とひきこもり当事者らは指摘してきた。

なぜこんな問題が起き続けたのかと言えば、ひきこもりは単なる年齢や属性捉えらえるものではなく「苦しみの総称」だからだと私は考える。

ひきこもりは「怠けているだけだ」と周囲から蔑視される。ひきこもった背景のいじめ、就活失敗、DV、虐待など「ひきこもらざるを得ないほどの傷」には目も向けられない。さらにセーフティネットの薄さや女性への偏見など、さまざまな社会的な障壁が重層的に絡み合うことで、当事者は「生きていていいと思えない」(20代女性)と語るまで追い詰められてしまう。

こうした苦しさの中身を当事者から拾いだし、そこから見えるひきこもりの実態を捉えていかなければ、いつまでも問題の本質には迫れないだろう。

新たに実施される女子会の調査は苦しさの中身にも踏み込むという。国はこうした調査結果を踏まえ、現在の実態調査のあり方を検討すべきである。

※内角府の調査については、40代以上のひきこもりも調査対象外となるため、当事者らが問題を指摘してきた。しかし、東京都町田市や秋田県藤里町など自治体レベルでの調査では40代以上も調査されており、女性に特化した調査だけがないのが現状である。