世界的コレクターから大阪府堺市に寄贈され、鑑定額で計7億円とされるクラシックカー50台が、大阪市港区の「赤レンガ倉庫」で2018年から常設展示される。

 BMW社製を中心にした50台で、展示スペースを確保できないまま堺市内の倉庫で眠っていた。市は「ファンが羨むような名車を気軽に楽しんでもらえる」としている。

 寄贈者は、「カメラのドイ」の創業者で、1990年に他界した土居君雄氏。遺族から93年、土居氏が収集していた画家アルフォンス・ミュシャの作品300点以上とともに、「新婚時代を過ごし、いい思い出がたくさんあるから」と、堺市に贈られた。

 50台のうち49台は、1920年代後半〜80年代のBMW社製。同社に1億8200万円と鑑定されたスポーツカー「507ロードスター」や、世界に数台しか現存しないという三輪トラック「F79スリーホイーラー」などがあり、「ドイ・コレクション」として世界に知れ渡っていた。

 土居氏は生前、クラシックカーのミュージアム建設を構想し、遺族も一般公開を希望していたという。しかし、常設展示が可能な広い土地が見つからず断念。堺市南区にある市の倉庫で保管し、毎年春と秋に期間限定で公開するなどしてきた。

 ただ、メンテナンスが難しく、自走可能な車はわずか5台に。「赤レンガ倉庫」に2年前、クラシックカーが並ぶ複合施設「GジーLIONライオン MUSEUMミュージアム」がオープンしたことから、同施設での展示を決めた。

 公開にあたり、BMW社の日本法人「ビー・エム・ダブリュー」(東京都)と、正規ディーラーでミュージアムを運営する「クインオート」(兵庫県篠山市)の共同企業体に年間70万円で貸し出す形にすることで、専門の技術者による保守点検態勢を構築。コレクションを活用したイベントも計画してもらう。

 市文化課によると、年内にも車を移し、年明けの公開に向けて準備を進めていくといい、同課は「堺市での公開はかなわなかったが、多くの人にコレクションを見てもらいたいという土居さんと遺族の思いを、ようやく実現できる。今後、イベントなどで堺市民にも楽しんでもらえたら」としている。(浦西啓介)

2017年08月28日 10時07分
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