習志野市の谷津干潟に繁茂する海藻「アオサ」の腐敗臭に対する苦情が7月に集中し、
本年度は市に28件寄せられ、昨年度一年間の3件から急増したことが、市への取材で分かった。
梅雨時期に雨が少なく暑かったことで、アオサの腐敗が一気に進んだのが要因と推測されている。

市環境政策課によると、苦情は5月が2件で6月はゼロだったが、7月は計25件あった。
8月9日も1件で計28件となる。
2015年度はゼロ、昨年度は3件だったことから同課は「本年度は急増した」と話す。
苦情は、環境省関東地方環境事務所成田自然保護官事務所に連絡した。

アオサが枯死し腐敗することで臭いが出る。
原因の一つとして同事務所は
「近年増えているアオサが、梅雨時期に雨が少なく暑かったことで一気に腐敗が進んだのでは」と推測。
さらに、赤潮などの影響が重なった可能性も指摘する。

悪臭の指標として空気中の硫化水素の濃度を観測しており、
7月は人が感じる濃度(0・5ppm)を上回る日が27日あった。
最高値は同月16日の3・5ppmだった。

同事務所では、住宅地に近い護岸へのアオサの寄り付きを防ぐため、
竹のくいを設置するなど対策を講じている。
また、「機械を使った効率的な除去も検討している」(同事務所)という。
同課も実効性のある対策を求めている。

千葉県によると、東京湾の本県側で同月3〜12日に赤潮を確認。
27、28日には青潮を確認した。

夏場の腐敗臭が問題となりながらも、
アオサは一部の鳥のエサや水生生物の生息にとって必用な海藻でもある。
谷津干潟自然観察センターは肥料化の取り組みを始めている。
県立津田沼高校では、理科部の生徒が有効な活用方法を探っている。

◇谷津干潟
面積は約40ヘクタール。
1988年11月、国指定谷津鳥獣保護区に指定され環境省が中心となって管理する。
93年6月、ラムサール条約登録湿地となった。
シギやチドリ、カモ類などの渡り鳥が飛来し、都市部の身近な湿地として愛鳥家や市民に親しまれている。

写真:水面に広がる谷津干潟のアオサ
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以下ソース:千葉日報 2017年8月28日 05:00
http://www.chibanippo.co.jp/news/local/433502