0001みつを ★
2017/08/31(木) 00:19:33.22ID:CAP_USER9世界で初めての民間による月面探査レースに挑戦している日本のチーム「HAKUTO」は、月面と似た環境とされる鳥取砂丘で探査車の通信試験を行いました。
「HAKUTO」は、国内の宇宙関連のベンチャー企業や大学の研究者などおよそ100人でつくる日本のチームで、アメリカのIT企業「グーグル」などが進める世界で初めての民間による月面探査レースに参加しています。
30日は、月に環境が似ているとされる鳥取砂丘で、全長およそ60センチの月面探査車「SORATO」の通信試験を行いました。通信は、探査車を月面まで運ぶ着陸船を経由して行われることになっていて、着陸船に見立てた金属の板の上に無線機を設置して、探査車の位置を変えながら通信に問題がないかテストしていました。
また、高さ1メートル余りの起伏を作り、通信が途絶えることがないか確かめていました。
今回の月面探査レースには、日本やインド、アメリカなど世界の5つのチームが参加し、月面を500メートル走行したうえで、映像や画像を地球に送信することになっていて、最初に成功したチームには賞金20億円余りが贈られることになっています。
レースの期限は来年3月末までで、「HAKUTO」は振動や温度に対する探査車の試験を行い、ことし12月28日にインドのロケットで月に打ち上げたいとしています。
「HAKUTO」で通信を担当している清水敏郎さんは「障害物があると通信の強度が100分の1に落ちてしまうケースがあることがわかり、意義ある試験だった」と話していました。
月面に似た環境での試験の重要性
月や火星の表面の一部は、細かい砂で覆われていて、この細かい砂が探査をする際の障害になると言われています。
月では、岩石が宇宙空間を漂う高速の粒子と衝突して砕かれ、直径が1ミリよりも細かい砂ができるとされていて、多くの場所では、細かいパウダー状の砂が数センチ程度覆っています。
NASA=アメリカ航空宇宙局もアポロ計画で月面探査を行った際に、細かい砂が巻き上がり、機械を詰まらせたり、ラジエーターの働きを悪くしたりしたほか、宇宙服から空気が漏れる原因にもなりました。また火星は砂地や岩場があるなど月よりも地形が複雑ですが、NASAが火星に送り込んだ無人探査機「スピリット」が2009年、砂地に車輪がはまり、動けなくなりました。
こうしたことからHAKUTOは、探査車が、月の表面の砂が降り積もった起伏のある場所を走行する場合にどのようにすれば通信が途絶えることなく、安定して走行させることができるか検証することが重要だとしています。
そこで、HAKUTOは、砂に覆われた月面に似ていることに加えて広いエリアを使える鳥取砂丘を試験場所に選びました。鳥取県も、鳥取砂丘を実験場所として使えるよう調整するなど全面的に協力していて、去年9月にもHAKUTOが試験を行っています。
一方、国の研究機関であるJAXA=宇宙航空研究開発機構は、惑星探査を行うため月や火星などの表面を再現した専用の施設をことし完成させ、10月から本格稼働させることになっています。
施設の中には、400平方メートルと、バスケットボールのコートほどの広さに、直径およそ0.5ミリの細かい砂が400トン余り敷き詰められ、高さ2メートルほどの起伏も再現されています。天井までの高さは11メートルあり、実際と同じ大きさの探査ロボットや着陸機を使った試験を行うことができ、湿度や温度が管理されているほか太陽の日ざしを再現できる特殊な照明装置も備えています。
JAXAでは2020年度に打ち上げる予定の月面着陸機の開発で、すでにこの施設を使って試験を行っているほか、将来的には、民間企業も使うことができるようにすることも想定しています。
JAXA宇宙科学研究所の國中均副所長は「月や火星など探査が予定されている場所とどれくらい似た環境で試験ができるかは、計画を成功させるためにとても重要なことだ」と話しています。
8月30日 21時51分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170830/K10011119531_1708302141_1708302151_01_04.jpg