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スイスのジュネーブで開かれている「軍縮会議」で、北朝鮮の核・ミサイル開発について日米韓の防衛担当者が、「ヨーロッパの主要都市も射程に入った」などと述べ、開発を直ちにやめさせる必要があるとしたのに対し、北朝鮮の代表は、国連の安保理で採択されたミサイル発射の即時停止を求める議長声明を強く非難しました。

ジュネーブで開かれている「軍縮会議」は、30日、本会議が行われ日本、アメリカ、韓国の防衛担当者3人が、北朝鮮の核・ミサイル開発についての分析結果などを発表しました。

このうち、アメリカ国防総省の担当者は、北朝鮮が29日に行った日本の上空を通過した弾道ミサイルの発射などについて触れ、「東京だけでなく、パリやジュネーブなどヨーロッパの主要都市も射程に入ったとみるべきだ」と述べたうえで、NATO=北大西洋条約機構やASEAN=東南アジア諸国連合などすべての国際的な枠組みを通じて、北朝鮮の開発を直ちにやめさせる必要があると強調しました。

また、防衛省・防衛政策局の遠野調査研究室長は、「北朝鮮は、核弾頭を実際に完成させた可能性がある。ミサイル技術の向上と合わせると日本だけでなく国際社会全体の平和と安定を脅かしている」と述べ、脅威は新たな段階に突入していると指摘しました。

これに対し、北朝鮮の代表は、国連安保理で29日、採択されたミサイル発射の即時停止を求める議長声明を強く非難したうえで、「安保理はアメリカの道具でしかない。北朝鮮の独立を守るため、あらゆる手段をとる用意がある」と反論しました。

会議ではフランスやイギリスなど15か国以上から北朝鮮を非難する発言が相次ぎましたが、これに対して北朝鮮はたびたび反論し、「アメリカが核の脅威を振りかざすかぎり、開発を後退させるつもりはみじんもない」などと反発しました。

軍縮会議のあと、高見澤軍縮大使はNHKのインタビューに応じ、アメリカ国防総省の担当者が北朝鮮のミサイルがヨーロッパの主要都市も射程に入ったと強調したことについて、「射程はすでに明らかにしてきている情報だが、それがどういうことを意味しているのかを、地球儀の上で展開して客観的事実で示すことで、参加国の理解をより深められたのではないか」と述べました。そのうえで、「多くの国から日本と連帯していくという声明があった。安保理決議をしっかり実行に移していくことが大前提だが、この軍縮会議を通して特にヨーロッパの国々に認識を深めてもらい、ともに外交的な解決の道を模索していくことも重要だと考えている」と話しました。

8月31日 5時14分