灰色のテープで隠されたタイル=三重県名張市で2017年8月22日
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タイルに描かれた緑色のウグイス=三重県名張市提供
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近鉄名張駅の通路に描かれたタイル画の一部が長い間、修復されずに放置されている。三重県名張市の木「モミジ」や花「キキョウ」の絵が存在感を示すのに対し、市の鳥「ウグイス」は灰色テープで隠されたまま。通路を利用する市民からは「名張の玄関口なのに、ずっとテープを貼った状態では違和感がある」との意見も出ている。【広瀬晃子】

通路は駅の東西出入り口をつなぐ歩行者専用の「東西連絡線」。市によると、通路は名張駅東駅舎の完成に伴い、1992年3月に開通した。壁や床はタイル張りなどとなっており、市の木、花、鳥が描かれている。まさに玄関口を意識したモチーフの選択と思われる。

テープで隠された理由を調べると、鮮やかな緑色のウグイスの絵を見た市民から「実物とは違う」と指摘を受け、市が応急処置をしたらしい。市をPRしようと設置したデザインタイルは信楽焼の特注品ということも分かった。

関係者に詳しい話を聞くと、数年前にも市民から「ウグイスとは色や柄が違い、まるで架空の鳥。子どもに間違った知識を与えてしまう」と苦情が寄せられた。市は間違いを認めたが、壁面にはめ込んだタイルを交換することは難しく、忠実に描いた絵をタイルの上に貼り付けた。その絵も何らかの原因でなくなり、別の市民から同様の苦情を受け、昨年8月に灰色のテープを貼って目隠ししたという。

図鑑「日本の野鳥」(日本野鳥の会が出版)によると、ウグイスの体は茶褐色。うす緑がウグイス色と認識されていることもあり、市は「イメージをデザインして描いたと思う」と話す。通路を利用する市民から「玄関口なのに、ずっとテープを貼ったままでは恥ずかしい」との意見もあり、市は「1日でも早く対処したい」と、修復を検討している。

配信2017年9月1日 10時05分(最終更新 9月1日 10時31分)
毎日新聞
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