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<接近>

1953年以降、敵の戦闘機によって殺害された兵士がいないことを、米空軍は誇りとしている。しかし今回のドローン攻撃は、発生時に車列に加わっていた数少ない米当局者2人の証言が正しければ、それに終止符を打っていた可能性があった。

米軍は当初、ドローンが車列に向かって爆弾を投下したが外れたと説明。車列には、米国が支援する兵士や顧問らが含まれていた。一方、レンケン中佐は、それとは少し異なる説明をしている。

レンケン中佐によると、ドローンはミサイルを搭載していた。ドローンが発射したとき、不発に終わったもののミサイルが車両の1つのドアに当たったという。

「不発弾だったから、とてもラッキーだった」とレンケン中佐。「明らかに致命的な一撃を食らわそうとするものだった」

ドローンを攻撃するのに必要な基準を明らかに満たしていたと、レンケン中佐は言う。

とはいえ、反撃するというレンケン中佐の決断を複雑なものにした要因の1つは、ロシアのスホイ27戦闘機「フランカー」の存在だ。レンケン中佐に狙われていると解釈する可能性があったからだ。

「(ロシア軍パイロットは)私の戦闘機からミサイルが発射されるのを見たら、自分への攻撃と考えるだろうか」とレンケン中佐は説明した。

もう1つの問題は、ドローンが小型なあまり、レンケン中佐が放ったミサイルがうかつにもロシア機に届いてしまう可能性があったことだ。

「エスカレーションする可能性は十分にあった」とレンケン中佐は話す。

同中佐は、パイロットにとって、シリアでの戦いが、地上のイスラム国の標的を単に攻撃していればよかった時期をはるかに超える段階にきていることを学んだという。

米軍パイロットはどのような事態にも備える必要がある。

「この出来事から明らかなのは、戦いがどういうものになるか分かっていると見くびって構えることはできないということだ」とレンケン中佐は言う。

「いかようにも戦況が変異する覚悟をもって臨む必要がある」

終わり