http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170912/k10011136701000.html?utm_int=news-new_contents_list-items_011

徳島県の三好警察署が無実の女性を詐欺事件の容疑者として誤って逮捕したことを受けて、徳島県警察本部は県内の警察署長など幹部を集めた緊急の会議を開き、鈴木基之本部長が陳謝したうえで再発防止の徹底を指示しました。
徳島県の三好警察署は、アイドルグループのコンサートチケットを譲るとうそを書き込み、県内の10代の女性から現金をだまし取ったとして、ことし5月、愛知県豊田市の21歳の専門学校生の女性を詐欺の疑いで逮捕しました。

しかし、女性は一貫して容疑を否認し、警察はその後の調べで事件と無関係だったことがわかったと、11日、明らかにしました。

これを受けて徳島県警察本部は、12日、県内の警察署の署長など幹部およそ70人を集めた緊急の会議を開き、鈴木基之本部長が「犯人でない方を逮捕してしまったことは大変遺憾で、県警の最高責任者として誠に申し訳ありません」と陳謝しました。

そのうえで「今後はより一層適正かつ緻密な捜査を推進し、捜査指揮の徹底を図るなど信頼回復に向けた取り組みを強く押し進めることが必要だ」と述べて再発防止を徹底するよう指示しました。

この問題をめぐっては、京都市の15歳の女子中学生が、チケットの代金をだまし取ったとして、11日、詐欺の疑いで書類送検されています。

誤認逮捕の経緯

11日、書類送検された女子中学生は、インターネット上で女性になりすまし、ネットを通じたやり取りだけで現金をだまし取った疑いが持たれています。
警察によりますと、女子中学生は、専門学校生の女性が人気アイドルグループ「関ジャニ∞」のチケットを売却しようとツイッターに書き込んでいるのを見つけて購入を装って近づき、ツイッターでやり取りしていたということです。このとき女子中学生は女性の名前や口座番号を入手したと見られ、その後、女性になりすましてネットを通じたやり取りだけで代金をだまし取った疑いが持たれています。
警察によりますと、調べに対し容疑を認め「お金が欲しかった。自分で考えてやった」と話しているということです。

警察はなりすましを見抜けず誤って女性を逮捕した理由について、ツイッター上のやり取りや口座が女性本人の名義だったことに加え、口座に振り込まれたあと、すぐに引き出された形跡があったことなどを挙げました。しかし、いずれも状況証拠にすぎないうえ、「なりすまし」の可能性については想定していなかったということです。

肝心の裏付け捜査も十分ではなく、アカウントを確認しようとツイッターの運営会社に問い合わせましたがすでに削除されていてたどることができなかったということです。さらに女性が「チケットは郵便局から購入者に発送した」と説明したのに、警察は自宅近くの郵便局1か所だけを調べた結果、記録が見つからないとして信ぴょう性が薄いと判断しました。しかし、実際にチケットを発送したのは近くの別の郵便局で、女性は釈放されたあと自分で発送した事実を証明して改めて無実を訴えたということです。

専門家「捜査員が知識持つこと必要」

サイバー犯罪に詳しい神戸大学大学院の森井昌克教授は「女性の銀行口座に金が振り込まれていたことから警察は女性が詐欺をしたと思い込み、実際にチケットを送ったかどうかをきちんと調べなかったのではないか。今はどんな犯罪にもネットが絡む時代といえ、なりすましができることなど捜査員一人一人が知識を持つことが必要だ」と話しています。