http://www.bbc.com/japanese/41303353

ミャンマー軍の強硬な摘発から逃れようと、西部ラカイン州から40万人以上のロヒンギャが国外に脱出している問題で、ミャンマー軍のトップ、ミン・アウン・フライン国軍司令官は17日、ロヒンギャは「民族集団だったことはない」と述べ、暴力の原因はラカイン州北部に拠点を作ろうとしているロヒンギャの「過激派」だと批判した。

司令官はフェイスブックへの投稿で、ロヒンギャ「問題」をめぐり、ミャンマーの国民とメディアに団結を呼びかけた。将軍は、ミャンマー国内でロヒンギャを指す際に使う「ベンガル人」という表現を使い、8月25日に「ベンガル人過激派」が警察施設を襲撃したことが、軍の摘発のきっかけだと説明した。
司令官はさらに、ロヒンギャ武装勢力は組織的な暴力を通じて、ラカイン州北部に拠点を作ろうとしているのだと述べ、「ロヒンギャはミャンマーで民族集団だったことは一度もないが、ロヒンギャとしての認定を求めている。ベンガル人問題は国家的な課題で、真実を確立するため、我々は団結しなくてはならない」と書いた。

ミャンマー軍はラカイン州に住むロヒンギャの民間人を攻撃しているとされるが、ミャンマーはこれを否定し、ロヒンギャ武装勢力の襲撃に応戦しているだけだと説明している。
国連は、ロヒンギャへの攻撃は民族浄化に相当すると警告している。ロヒンギャのほとんどはイスラム教徒だが、ミャンマーは9割が仏教徒。

ロヒンギャ武装勢力による8月25日の警察施設襲撃では、治安部隊の隊員12人が死亡した。しかしその後に、バングラデシュに逃れたロヒンギャは、ミャンマー軍がロヒンギャの村を燃やし、民間人を攻撃して、国から追い出そうとしていると話している。

国連のアントニオ・グテーレス事務総長は17日、ミャンマーの事実上の指導者アウンサンスーチー氏に対して、状況が「とんでもない状態」になる前に軍の摘発をやめさせるには、「今が最後のチャンス」だと呼びかけた。「そうしなければ、将来的に取り返しのつかないことになる」。
BBC番組「ハードトーク」に出演した事務総長は、ミャンマーでは依然として軍部が最大の権限を維持しているのは明らかだと指摘した。

スーチー氏は19日からの国連総会一般討論に欠席する方針。ロヒンギャ危機は「巨大な偽情報の氷山」のようだと反発し、偽ニュースがテロリストに有利になるような偽情報を煽っていると批判している。

ラカイン州で取材していたBBCニュースのスタッフも、燃えるロヒンギャの村を目撃している。

バングラデシュ政府はこのほど、ミャンマーから避難してきた40万人以上のロヒンギャについて、移動を制限する方針を表明。さらに、コックス・バザール市の近くに最大40万人収容可能な避難所を建設するつもりだと明らかにした。
独自の国家を持たない少数者ロヒンギャは、ミャンマーでかねてから不法移民として扱われ、迫害されてきた。

(英語記事 Rohingya 'extremists' trying to build stronghold - Myanmar army)