0001岩海苔ジョニー ★
2017/09/19(火) 02:29:49.46ID:CAP_USER93大都市圏から離れているという経営上の不利を乗り越え、隙間産業に狙いを絞り、伝統工芸で培ってきた技術を生かしている。海外進出を果たしたなどニッチのガリバーたちの取り組みを追った。
■職人技で新品同様に
石川県七尾市中島町小牧の「エフラボ」。ホテルやレストランで長年使われたイスやソファを修理する全国でも珍しい企業で、取引先を年々広げながら急成長している。
運び込まれるイスは一度で多くて1000脚ほど。汚れたり破れたりした生地を剥がし、サイズどおりに生地を機械で裁断する。クッションを入れ替え、新しい生地を手縫いしていく。塗装や形のゆがみも修整し、新品同様によみがえらせる。
「買い替える費用の6割ほどに抑えられる。市場を自ら切り開いたので、競合他社は存在せず独占状態です」。松井正尚社長(62)は満面の笑みを浮かべた。
イスは近年、安価な外国産が市場を席巻。品質が低く、販売元は修理できないことに目をつけ、インテリア関係の商社から10年前に独立した。当初こそ「イスを修理する意義を理解してもらえなかった」(松井社長)が、首都圏から依頼が年々増え、3人だった従業員は今はシルバー人材を含めて60人以上、売り上げは年間4億円以上に成長した。
事業を可能にしたのが、伝統的に和風建築の「建具の町」と知られる同市の田鶴浜地区の職人の存在だ。建材メーカーの建具が増え、仕事が減った職人を雇うことで地域の雇用にも貢献した。今春、高卒の3人も採用。今後、営業先を広げ、海外も視野に事業を拡大させる計画だ。
■業務用に狙い絞る
高岡銅器の伝統から金属加工に秀でた富山県は「アルミ製造」で強みを持つ。サッシやボトル缶が有名だが、高岡市笹川の「苗加製作所」は、家庭用より巨大な業務用炊飯釜で国内シェアは95%に達する。
コンビニのおにぎりや冷凍食品のチャーハン、学校給食や病院や企業の食堂――。いずれも一度に大量の米を炊く必要があるが、家庭用で使うステンレス製釜を大型化すると重すぎる。軽いアルミを採用し、大きい鋳物でも中に空洞を作らない同社の技術を生かした。大きいと直径1メートル50ある鋳造した釜を職人が削り、磨いて仕上げる。
今年で創業150周年を迎える同社は元々仏具を作っていた。戦後、家庭用炊飯器の釜を作っていたが、7代目の苗加康孝社長(51)が入社した1990年頃に、安価な海外製に押されて仕事は激減。焦る中で目に飛び込んできたのが、全国で広がり始めたコンビニだった。
「これからはご飯は自分で炊かずに、店で買う商品になるはずだ」。そうひらめき、90年代中頃に家庭用から業務用に切り替えた。狙いは的中し、現在ではさばききれないほどの注文が舞い込む。中国や韓国、東南アジアでも同社の釜は使われている。苗加社長は語る。「苦しい時期があったからこそアイデアが生まれた。北陸の人間は我慢強い」(田村直広)
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