憲法前文と9条は平和憲法の平和憲法たる根幹。
戦争を実体験した日本人による平和の理念の宣言として世界史的価値がある。
終戦直後の強い平和意識を子々孫々にまで伝える教育的価値がある。
そして戦後70年以上の歴史で実証された現実的価値がある。
そうした崇高かつ実証的な価値を前にして、矛盾があると訳知り顔に言うのは浅はかな人知にすぎない。
兵器が進歩し続けるなかで、すでに人類を何百回も全滅させられる核兵器が蓄積された。
それでも各国は他国と戦争して自国を防衛するのだと、兵器と軍備の増強競争をやめない。
一方で、世界の多くの国は核兵器禁止条約を結び軍縮に取り組もうとしているが日本政府は逆行している。
安倍政権の改憲・軍拡競争・戦争解禁の路線は、世界の多くの国の取り組みと逆行する方向に進んでいる。
はたして安倍改憲路線を世界が見習って、世界は安全になり、日本は安全になるのだろうか。
改憲して戦争を解禁する以上、全面戦争・核戦争も覚悟しなければならない。
改憲して戦争を解禁して、全面戦争と核戦争だけはありえないという保証があるはずがない。
9条改憲派は、全面戦争と核戦争を覚悟して、どのように国と国民を守ろうというのか青写真を示す責任がある。
ただし、戦争の青写真を描けたためしはなかろう。
3カ月で片づくと軍部が天皇に言った日中戦争は4年たっても終わらず米英との戦争にまで発展した。
短期決戦で戦果をあげて敵の繊維をくじいて有利な講和を結ぶはずの太平洋戦争は、長期戦の果てに日本を存亡の淵に追いやった。
世界最強の米軍が小国を相手に始めたアフガン戦争は、百兆円使ったのに16年たっても撤退できない。
9条改憲派が描く戦争の青写真も、「こんなはずではなかった」となるのがオチであろう。
人知をこえた知恵である平和憲法より、おのれの浅はかな人知を過信してのふわふわした9条改憲は危険なギャンブルに成り果てよう。