東海道新幹線が出来て、日本のサラリーマンは幸せになったか?

昔は、東京本社の人間が大阪支社に出張ともなれば、宿泊が前提。
遠路はるばるおこし下さいまして、ということで、一席設けて
軽く飲んだあとは暖かい布団でグッスリ。
それがいまや、朝10時から夕方5時までの会議を梯子して日帰り出張が
当たり前になった。
暖かい布団は窮屈な自由席に、暖かい夕食はワゴンの弁当になった。

奈良ルートが出来ても日本人は幸せにならないよ。朝6時八王子始発の
リニアにドブネズミ色のスーツを着たサラリーマンが鮨詰めになって、
大阪で8時30分から始まる会議の資料を轟音が鳴り響く長大なトンネルの中で読む。それが奈良ルート。

一方、会議を早めに終えて、夕暮れの比叡山を眺めながら読書しつつ、
琵琶湖湖畔の夜景を肴にワインを楽しめるのが京都ルート。

「京都名物の腕時計の車内販売でございます。」
「どれ、ひとつ、良夫に土産でも買っていってやるか。」
「やったー、パパ!ありがとう!」
「まあ、あなた!いいんですの?こんな高い物を・・・。」
「なあに、今日は良夫の誕生日じゃないか!土産が買えたのも京都ルートのお陰だ。」
「何ですの?その京都ルートって。」
「いいかい、ここが琵琶湖、ここの湖南を抜けて、ほおらここが逢坂山・・・」
「いやん!くすぐったいですわ、あなたん!やめてください!あっ!あっ!」
「こりゃひとつ、良夫の誕生日プレゼントに可愛い弟か妹をこしらえて
やらにゃいかんな。」
「まあ、あなたったらん♪」
これが京都ルート。