猫は自分以外の尿の臭いを嗅ぐと、自分の尿を残さずに立ち去る。その習性に着目し、岩手大農学部の宮崎雅雄准教授(生化学)らの研究グループが、糞尿(ふんにょう)被害防止に役立てる研究を進めている。悪臭をできるだけ抑えた尿の抽出物による防止剤を開発するのが目標で、宮崎准教授は「企業とも連携して実用化したい」としている。

 研究グループは、猫が他の猫の尿に興味を示して臭いを嗅ぎに来るが、嗅いだ後は犬と違って自分の尿を残さない行動原理を実験で確認。尿からアンモニア臭の原因になる尿素を除いた抽出物を使っても、同じ効果があることを発見した。

 ペットや野良猫の増加により、糞尿被害は各地で問題化している。宮崎准教授によると、猫が嫌がる臭いや超音波を使った対策商品が販売されているものの、慣れてしまうなど効果が限定的なものも多いという。

 宮崎准教授は「抽出物から防止剤が作れれば、猫にも嫌な思いをさせずに被害を防ぐことができる」と強調。抽出物には猫の尿に特有の臭いを出す化合物が多く含まれ、硫黄臭といった人には不快な臭いも残っているため、より効果的で「猫にも人にも優しい」技術の開発を目指す考えだ。

http://www.sankei.com/smp/life/news/170927/lif1709270033-s1.html