県北を代表する老舗パン会社、一野辺(いちのべ)製パン(一戸町、一野辺克彦社長)が27日に盛岡地裁から破産開始決定を受けたことは、学校給食約1万6500食の行方にも波紋を広げた。同社は自社製品の販売だけでなく、盛岡以北9市町村からパンや米飯の委託加工を受け持つ。関係市町村は情報収集に追われ、突然の解雇を告げられた従業員からは不安の声が漏れた。同社は「社長が不在のためコメントできない」とするが、八戸市にも工場を持つだけに影響はさらに広がる可能性もある。

 「明日の給食はどうなるのか」。緊急の対応を迫られたのは市町村教委だ。岩手日報社の取材によると、同社に給食用のパン加工を委託しているのは盛岡市(約6500食)、久慈市(約3170食)、八幡平市(約1860食)、洋野町(約1730食)、軽米町(約590食)、九戸村(約500食)。さらに一戸町(約950食)と岩手町(約900食)、葛巻町(約300食)、盛岡市の玉山地区はパンと米飯両方で週5日間の主食を委託している。

情報が交錯する中、岩手町教委と葛巻町教委は当面の間、児童生徒に主食を持参させるよう各校に指示。岩手町の平沢勝郎教育長は「食の確保を最優先した。急ではあるが、保護者の理解と協力を求めたい」と語った。一戸町食育センターの小野寺俊勝所長は「給食を米飯で対応するにも設備や人員を増やすことが不可欠だ。当面は各家庭に協力をお願いする可能性が高い」と見通しを示した。

【写真=盛岡地裁から破産開始決定を受けた一野辺製パンの一戸工場=27日、一戸町一戸】

【写真堰∴齧辺製パンの看板商品として愛され続けた「タマゴパン」】


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9月28日(木)岩手日報
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