http://www3.nhk.or.jp/news/html/20171018/k10011181021000.html?utm_int=news-new_contents_list-items_027

12年前、栃木県の旧今市市、今の日光市で女の子を連れ去り殺害した罪に問われている被告の2審が18日から東京高等裁判所で始まります。被告が自白したとおりの場所で被害者が殺害されたといえるのか、東京高裁が検察に対して、証拠を示すよう求めていたことが関係者への取材でわかり、2審でも自白の信用性が最大の争点となる見通しです。

平成17年、栃木県の旧今市市で小学1年生だった吉田有希ちゃん(当時7)が連れ去られ、茨城県の山林で遺体で見つかった事件では、勝又拓哉被告(35)が殺人などの罪に問われています。

有力な物的証拠はなく、被告は「自白を強要された」と無罪を主張しましたが、1審の宇都宮地方裁判所は取り調べの映像などをもとに、自白は信用できるとして無期懲役を言い渡しました。
これに対して被告側が控訴し、18日から東京高等裁判所で2審が始まります。

裁判を前に行われた協議の中で、東京高裁が被告が自白したとおり茨城県の山林で被害者が殺害されたといえるのか、検察に対して客観的な証拠を示すよう求めていたことが関係者への取材でわかりました。

さらに東京高裁は、被告が別の事件で起訴され身柄を拘束されている間に殺人についての取り調べを受けていたことに関しても説明を求めたということで、2審も自白の信用性が最大の争点となる見通しです。

自白に至るいきさつも争点に

勝又拓哉被告が別の事件で身柄を拘束されていた間に殺人についての取り調べを受けたことをめぐっては、捜査段階から弁護士が検察に抗議していました。

勝又被告は、平成26年1月にブランド品をめぐる商標法違反の疑いで逮捕され、起訴された2月18日から殺人についての取り調べを受け始めました。

別の事件で身柄を拘束されていても取り調べに応じる義務はなく、被告の弁護士は、3月に入って検察官に抗議の文書を送りました。しかしその後も取り調べが続き、1審の宇都宮地方裁判所では、被告が取り調べの最中に泣きじゃくる様子などを録画した映像が法廷で再生されました。

こうした取り調べについて宇都宮地裁は、勝又被告が拒絶の意思を明確にした時は中止するなど任意の捜査の限界を超えていないと判断し、自白は信用できるとして無期懲役を言い渡しました。

一方、弁護団は、別の事件での逮捕から143日後に殺人事件の自白調書が作られるまで不当に長く身柄を拘束された結果、自由に話せなくなるほど精神的に追い詰められていたと主張しています。

関係者によりますと、東京高等裁判所は、3月に弁護士が検察官に抗議してからいったん殺人についての取り調べが終わる4月9日までの間に、取り調べが許されるような事情があったかどうか説明するよう検察に求めたということです。

2審では自白に至るまでのいきさつも争点になるものと見られます。

10月18日 4時02分