神奈川県大井町の東名高速道路で6月、トラックがワゴン車に追突し、ワゴン車の夫婦が死亡した事故に関心が集まっている。

車を運転する人には、とても他人事と言えない事故だったからだ。
ワゴン車の前に自分の車を停車させ、事故を誘発したなどとして逮捕された男は、足でハンドルを操作する様子を知人らが目撃するなど、悪質運転の常習者だった。
神奈川県警の調べに「(夫婦の夫に)注意され、頭に来たのでやった」と供述している。
捜査関係者は「長距離の運転もいとわない、いわゆるドライブ好き」と打ち明ける。
より罰則の重い危険運転罪の適用を求める声もあがるなど、余波は広がっている。

横浜観光の帰り道

6月5日午後9時半ごろ。萩山友香さん(39)=静岡市清水区=が運転するワゴン車が、神奈川県中井町の「中井パーキングエリア(PA)」から出ようとしていた。
駐車スペースからはみ出して止まっていた乗用車に、ワゴン車の後部座席にいた夫の嘉久さん(45)が「邪魔だ」と注意。悪夢はここから始まってしまった。

男は、福岡県中間市の建設作業員、石橋和歩容疑者(25)=自動車運転処罰法違反(過失致死傷)容疑などで逮捕。
捜査関係者によると、この日は、知人女性を乗せて横浜市内の赤レンガ倉庫などを訪れ、帰路についたところだった。

石橋容疑者は嘉久さんの一言に激高。ワゴン車を追走してすぐに追い抜くと、車線変更を繰り返した。
妨害走行は約1分間、距離にして約1・4キロにわたって続き、友香さんはやむなく追い越し車線上で停車。
「ケンカを売ってるのか?」。石橋容疑者は九州なまりの言葉ですごみ、ワゴン車内に身を乗り出して嘉久さんの胸ぐらをつかんだ。
嘉久さんは「すいません」と謝ったが手を緩めず、車外に引きずり出そうとした。
友香さんが運転席を降りて2人のそばに駆け寄った直後、後方からトラックが突っ込んだ。

4カ月後の逮捕劇

ワゴン車は追突の衝撃で前方の石橋容疑者の乗用車も巻き込み、中央分離帯にぶつかった。
外にいた友香さんは全身を強く打って死亡。車内にいた嘉久さんも外に投げ出されて亡くなった。
車内には高校1年の長女と小学6年の次女もいたが、いずれも軽傷。石橋容疑者と知人女性は腰の骨を折るなどの重傷だった。

捜査関係者によると、長女らは「事故の前に石橋容疑者とトラブルになり、あおってきた」などと説明。
一方、石橋容疑者は「(夫婦側に)あおられたり、パッシングされたりしたので停車した」などと話した。

県警交通捜査課などは、当時現場周辺を走っていた260台以上の車両を防犯カメラなどで割り出し、
運転手らの証言やドライブレコーダーの記録を収集。石橋容疑者の説明は虚偽と断定し、
10月10日、自動車運転処罰法違反(過失致死傷)の疑いで逮捕した。事故発生から約4カ月後のことだった。

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2017年10月23日 12時6分 産経新聞

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