http://www3.nhk.or.jp/news/html/20171025/k10011197171000.html?utm_int=news-new_contents_list-items_025

10月25日 16時37分

財務省は来年度の予算編成に向けて、高齢化で膨らみ続ける医療や介護などの社会保障費を抑える見直し案を明らかにしました。医師の収入などになる「診療報酬」について、一般の賃金や物価の伸びを上回る上昇が続いてきたとして引き下げを提案し、今後、厚生労働省などと調整を進めることになりました。

見直し案は、25日開かれた財務大臣の諮問機関、財政制度等審議会で財務省が示しました。来年度の予算編成では歳出の3分の1、32兆円余りを占める医療や介護などの社会保障の伸びを抑えることが引き続き最大の課題になっています。

このため、医療分野では病院などに支払われる「診療報酬」を来年度、2%台半ば、金額に換算して1兆円以上引き下げるよう提案しました。民間企業の賃金や物価の水準がほぼ横ばいで伸び悩む中、医師の収入などになる報酬は上昇が続いてきたと指摘し、引き下げが必要だと指摘しています。

また、再来年度以降に行う見直し案として、75歳以上の高齢者の追加の負担を打ち出しました。病院にかかった際窓口で支払う自己負担を、今の原則1割から段階的に2割に引き上げるべきだとしています。

介護の分野でも、介護サービスを提供する事業者に支払われる「介護報酬」について、引き下げを提案しました。

さらに、子育て支援の分野では、中学生までの子どもがいる世帯に支給される「児童手当」について、所得が高い世帯への支給を廃止するよう提案しました。

また2020年度末までに32万人分の保育の受け皿を新たに整備するため、企業が負担している拠出金の引き上げも提案しました。

財務省は、これから年末にかけて厚生労働省などとの調整を進めますが、報酬の引き下げは日本医師会などからの反発が予想され、来年度の予算編成の大きな焦点になる見通しです。