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10月26日 11時53分

タイの国家元首として70年間にわたって在位し、去年亡くなったプミポン前国王の葬儀は26日、中心的な儀式となる火葬が行われる予定で、首都バンコクの王宮ではひつぎを火葬施設に運ぶ儀式が行われています。

去年10月に88歳で亡くなったタイのプミポン前国王の葬儀は、1年間の服喪期間を経て25日から首都バンコクの王宮で執り行われています。

2日目の26日は、中心的な儀式となる火葬が行われる予定で、首都バンコクでは、朝、王宮に安置されていたひつぎを1.7キロ離れた火葬施設に運ぶ儀式がはじまりました。

金色の装飾が施されたひつぎは、みこしのような台にのせられ、5000人以上の兵士らにともなわれ、王宮を出発しました。途中、ひつぎはタイ王室に代々伝わる高さ11メートル、長さ18メートルの船のような形をした木製の車に載せ替えられ、王宮前広場に新たに建設された火葬施設に向かいました。

70年間にわたって在位したタイのプミポン前国王は、異なる政治勢力どうしの対立をみずからおさめるなど国の安定の要として国民から絶大な尊敬を集めてきました。

王宮周辺の沿道には、12万人以上の市民が訪れ、前国王と最後の別れを惜しんでいました。

26日の夜に行われる火葬には、40か国以上の要人らが参列する予定で、日本からは秋篠宮ご夫妻が朝、首都バンコクに到着されました。葬儀は、今月29日まで続き、その後、プミポン前国王の息子で後継者のワチラロンコン国王の戴冠式を経て、タイでは、新たな体制が本格的に始まることになります。

火葬施設の近くへ バス待つ人の長い列

プミポン前国王の火葬を前に、バンコク中心部のバスターミナルには、火葬が行われる施設の近くに向かう無料のバスやタクシーに乗り込もうと、早朝から多くの人が長い列を作っていました。

並んでいた女性の1人は「前国王を追悼するため、火葬施設の近くに行きます。父親を失ったような気持ちで、本当に悲しいです」と話していました。

徹夜で場所取りの人も

王宮や火葬施設周辺の道沿いには、葬儀の様子を一目見ようと、25日から徹夜で場所取りをしてきた人たちも含め、大勢の市民が集まりました。

25日から待っていたという43歳の女性は「生まれた時から親しんできた人と最後のお別れをするようなものです。前国王を人生のお手本にして、よい行いをしていきたいと思います」と話していました。

37歳の女性は「前国王は亡くなってしまいましたが、私たちは今もその美徳に守られています。きょうは前国王を天に送り出さなければならないので息が詰まる思いです」と話していました。

広場でも追悼セレモニー

タイのプミポン前国王の火葬が行われるのに合わせて、バンコク中心部にある商業施設の広場では、前国王を追悼するセレモニーが開かれ、多くの人たちが参列しています。

商業施設の広場には、仮設のテントや参列者用の席が設けられ、セレモニーの開始前から多くの人たちが詰めかけました。そして、セレモニーが始まると、前国王の肖像画が掲げられた献花台に政府関係者や参列した大勢の人たちが次々と花をささげて、前国王を追悼しました。

参列した親子は「花をささげることが私が前国王にできる最後のことです。大きな喪失感を感じていますが私たちは団結して、国を支えていかないといけないと思います」と話していました。