■人間の注目に明らかに反応、家畜化に関与か、ただし動機は不明
 人間が見ているときとそうでないときで、イヌが表情を変えることが明らかになった。

 たとえば、イヌが眉の内側を上げて、目を大きく開き、子イヌのように見せる「悲しげな子犬の顔」をするのは、
人間の目を覗き込むときだ。

 イヌの表情はこれまで単に感情を示すものと考えられてきたが、もっと柔軟で、人間とのコミュニケーションに
役立っている可能性がある。この論文は、10月19日付けのオンライン科学誌「Scientific Reports」に発表された。

 この発見は、人間の最良の友と言われるイヌをより深く理解する手がかりとなるだろう。
人間とイヌはおよそ3万年にわたって共に暮らしてきた。おそらくはその間に、人間の影響を受けつつ、
イヌの行動が進化してきたと思われる。

 過去の研究では、イヌが絶えず人間をじっと見つめて身振りを観察していること、また、
人間に育てられたオオカミの子どもに比べると、イヌの方が人間の顔をより頻繁に見上げる傾向があることが示されていた。

「イヌは人間の身振りや意思疎通のシグナルを読み取っています。他の動物ではこうはいきません」。
論文の主要著者である英ポーツマス大学の心理学者ジュリアン・カミンスキー氏はそう語る。

■人間が愛着を感じる「悲しげな子犬の顔」
 イヌが自分の顔をどのように使っているのかを解明するため、カミンスキー氏のチームは、ドイツのボランティア家庭のリストから
ランダムに24匹の飼いイヌを選び、4つの場面でどう反応するのかを調べた。

 イヌは1匹ずつ、静かな部屋へと連れて行かれる。部屋のなかでは、1メートル離れたところに実験者が立ち、
イヌに対して次の4種類の態度をとる。
1つ目は、イヌの方を向いておやつを手にしている。2つ目は、イヌの方を向いているがおやつは手にしていない。
3つ目はイヌに背を向けておやつを手にしている。4つ目はイヌに背を向けておやつを手にしていない。

 当て推量を排除するため、研究チームは、筋肉の情報によって顔の表情を特定する評価基準に沿って分析を行った。
また、後でイヌの表情を繰り返し観察できるよう、カメラでイヌの反応を撮影した。

 カミンスキー氏のチームが特に注目したのは、「AU101」と呼ばれる「悲しげな子犬の顔」だ。
過去の研究において、この「AU101」に対しては人間が愛着を感じやすいことがわかっている。
論文の共著者であるブリジット・ウォラー氏の実験で、「AU101」の表情をより頻繁に作る保護犬は、
それ以外のイヌよりも早く里親を見つける傾向にあることが証明されている。

 今回の実験では、人間がイヌの方を向いているときの方が、彼らの表情は豊かになり、特に「AU101」を多く見せることがわかった。
この結果は、人間の注目に応じて、イヌの行動が変わることを明確に示している。

「つまり、こうした表情の変化は、人間の好みを反映したものである可能性を示唆しています」とカミンスキー氏は言う。
「イヌが目を大きく開き、顔を子イヌらしく見せるAU101は一方で、人間が悲しいときに見せる表情にも似ています」


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https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20171026-00010000-nknatiogeo-sctch