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10月29日 6時20分

薬を届けるのが難しいヒトの脳に薬を運ぶ超小型のカプセルを東京大学などの研究グループが開発し、将来的にアルツハイマー病などの治療法の開発に役立つ可能性があるとして注目されています。

ヒトの脳は、栄養源となるブドウ糖などを除き、血液中の物質はほとんど入らないようになっていて、アルツハイマー病などの治療ではどのようにして脳に薬を届けるのかが大きな課題になっています。

東京大学と東京医科歯科大学の研究グループは、アミノ酸を使って直径が1ミリの3万分の1ほどのごく小さなカプセルを開発しました。

このカプセルの表面をブドウ糖で覆うと、脳の血管にある特定のたんぱく質がカプセルのブドウ糖と結びついて脳の中に運ぶことができるということです。

さらにグループは、空腹の状態だとこのたんぱく質が積極的にブドウ糖を運ぶことに注目し、空腹のマウスでこのカプセルを使ってこれまでの薬の100倍ほどの効率で脳に取り込ませることにも成功したということです。

グループでは、カプセルの中に薬となる物質を入れればこれまでにない治療効果が期待できるとしています。

東京医科歯科大学の横田隆徳教授は「認知症のほか、神経の難病や精神疾患の治療にも大きな武器になると思う」と話しています。

また東京大学の片岡一則特任教授は「将来は体中の必要な場所に薬を送り届けるナノテクノロジーを開発したい」と話しています。