>>1
■孤独死や自殺とは異なる臭い

報道によると、男は入居から約2カ月で9人を殺害し、バラバラにした遺体を室内に置いていたとされる。異臭などの兆候はなかったのだろうか。
Aさんは「今まで孤独死や自殺などの現場を何件も見ていますが、それらに比べて臭いは全然弱かった」と説明。月に2回定期清掃に行っているが、異変には気づかなかったという。

「確かに少し変なにおいがするな、とは思ったんですが、鼻をつままなければならないようなレベルではないし、何らかの生活臭だとしか思いませんでした。入居者からのクレームなども一切なかったし、
あの臭いから事件を想起するのはかなり難しいと感じます」とAさん。「ワンルームアパートなので入居者同士のコミュニケーションもそれほどなかった。入居者さんも一様に『今思えば』というようなことをおっしゃっています」

オーナーとは現在、今後について話し合いをしている最中だという。「入居者さんから『住み続けたい』という前向きな言葉を聞いて、こういう状況の中でもすごくうれしかった。オーナーさんとは
『1人でも2人でも入居者さんが残っているうちは頑張りましょう』と話しています。建て替えはなるべく考えたくない。家賃は下げざるを得ないかもしれませんが、今後の対応については退去の状況などを見て相談していきたいと思います」

■「2万円でも普通」のエリア

事件のあった現場は小田急線相武台前駅から徒歩10分弱。戸建ての多い住宅街だが、築年の古そうなアパートも目立つ。近所に住む女性(82)は「この辺りは昔から住んでいた人が多い地域ですが、
最近はそういう人たちが一軒家をどんどんアパートに建て替えているんです。このへんのアパートも、もともとは全部一軒家だったんだけど…」と話した。

事件があったのは低家賃のワンルームアパートだが、近くに大学などが多いわけではなく、入れ替わりが激しかったという声もある。
近隣住民からは「東京じゃないし、この辺りで学生向けなら2万でも別に普通」といった意見が聞かれた。

相武台前駅近くでワンルームマンションを15年ほど所有していた経験があるという投資家のBさんは「周辺の家賃相場はだいたい把握していますが、このエリアはもともと家賃水準が非常に低い」と指摘。
「だから、この物件はこれ以上家賃を下げても集客効果がないと思います。しばらく新規入居者の募集は難しいのではないでしょうか」とみている。