2017.11.4 06:00
防衛省が、日本の人工衛星の運用を妨害する中国の衛星破壊兵器や宇宙ごみ(スペースデブリ)を監視する航空自衛隊初の専用レーダーを山口県に配備することが3日、分かった。既存の自衛隊施設に設置する方針で、今月中にも地元自治体に正式に打診する。レーダーの情報を基に衛星の軌道変更などの対策を検討する分析部門は、都内の空自基地か防衛省本省に配置することを検討している。

 防衛省は平成30年度予算案概算要求に宇宙監視システムの設計費として44億円を計上しており、35年度からの運用を目指す。

 山口県にレーダーを配備するのは、赤道上空3万6千キロを1日で周回し、見かけ上は常に空の同じ場所に位置している静止軌道帯の通信衛星などの周辺を監視することに適しているためだ。山口県は東経131度で、赤道上の同110度から160度にかけて多い静止軌道帯の衛星を監視しやすい。「日本宇宙フォーラム」(東京都)がデブリなどを監視している光学望遠鏡も経度が近い岡山県に設置されている。

 候補地については、周辺に住宅が少なく、レーダーによる電波干渉の影響もない場所にあり、新たに土地を取得する必要のない自衛隊施設を選んだ。防衛省は近く住民説明会も開き、配備に理解を求める。

 衛星破壊兵器やデブリが日本の衛星に近づき衝突する恐れがある場合、衛星の軌道を変えて衝突を回避しなければならない。現状では宇宙航空研究開発機構(JAXA)が日本宇宙フォーラムから収集データの提供を受け、軌道変更などの対応策を講じている。空自はレーダーで得たデータをJAXAと共有し、対応策の検討でも連携する。

 宇宙監視分野では米軍が先行しており、空自は米軍とも情報を共有する。それを踏まえ、分析部門を空自と米軍が共同で使用している横田基地(東京都)に配置する案もある。北朝鮮の弾道ミサイル発射の警戒など人工衛星は安全保障上の重要性が高まる一方、中国は衛星破壊兵器の開発を進め、日本の衛星が攻撃される恐れが強まっている。

http://www.sankei.com/smp/politics/news/171104/plt1711040007-s1.html