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11月4日 6時27分

ルネサンスの巨匠、レオナルド・ダビンチの作品の1つで、長らく所在がわからなくなり幻の作品とされた、イエス・キリストを描いた油絵がアメリカ・ニューヨークで公開されました。

この作品は、レオナルド・ダビンチが代表作の「モナリザ」に先立つ1500年ごろに制作した、「サルバトール・ムンディ」という油絵で、今月、ニューヨークでオークションにかけられるのを前に、3日、メディアなどに公開されました。

作品には、深い青色のローブを着たキリストが、祝福するように右手をあげ、左手に水晶を持っている姿が描かれています。
作品は17世紀にイギリス王室が所有していましたが、18世紀半ばに所在がわからなくなり、1900年に見つかったあともダビンチの作品ではないとされ、2011年にようやく専門家の鑑定によってダビンチのものと確認されました。

オークション会社によりますと、現存するダビンチの16点の作品のうち、この作品だけ個人が所有しているということで、今月15日に行われるオークションでは、1億ドルから1億5000万ドル、日本円でおよそ114億円から170億円で落札されると予想されています。

オークション会社の担当者は、「ここまで重要な作品を扱ったことはなく、どれだけの値段がつくのか想像もできない」と話していました。また、作品を見た男性は、「すばらしい作品で感動した。個人ではなく美術館が落札して、多くの人が名作に接することができるようにしてほしい」と話していました。

「幻の作品」数奇な運命

「サルバトール・ムンディ」は1500年ごろにレオナルド・ダビンチが制作したと見られ、17世紀前半にはイギリス王室が所有していたという記録があり、国王のチャールズ1世の妻の部屋に飾られていたと考えられています。

しかし、1763年にオークションにかけられたあと、所在がわからなくなりました。その後、150年近くたった1900年に見つかった際には、キリストの顔や髪の毛の部分が上塗りされていたことからダビンチの作品ではないとされ、1958年にイギリスで再びオークションにかけられた際には、現在の価値にしてわずか10数万円で落札されたということです。

このあとも2005年にアメリカで見つかるまで、50年近くにわたって所在がわからなりました。
2007年にニューヨークで修復作業が行われて、上塗りされた部分などが取り除かれ、数年にわたる専門家による鑑定の結果、ダビンチの作品と確認されました。

そして2011年にロンドンのナショナルギャラリーで開かれたダビンチの作品などを集めた展覧会で披露され、大きな注目を集めました。