世界最強の最新鋭戦闘機と言われる米空軍のステルス戦闘機F22ラプターが、ハチの群れに襲われて飛行不能に陥る珍事が米国で起きた。精密なシステムを誇っていても、意外な盲点をつかれて脆さを露呈するケースは少なくない。

米CNNテレビ(電子版)によると、バージニア州の基地に駐機していたF22ラプターに2万匹近いミツバチが群がり、排気ノズルから垂れ下がるようにミツバチがくっついているのを隊員が発見した。

 空では最強のステルス戦闘機だが、運用の一時停止を余儀なくされた。

 というのも、ミツバチの命も考えた米空軍の整備員らが、退役軍人の養蜂家に連絡をとってミツバチを引き取ってもらったからだ。

 養蜂家は、女王バチが偶然にもF22ラプターの機体で休憩することを決めたため、女王バチと行動をともにする他のミツバチが集まって2万匹が群がる状態になったのではないかと分析している。

 背景を聞けば、ほのぼのとしたストーリーだが、人間の英知を結集させた最新技術やインフラも意外な脆弱(ぜいじゃく)性を露呈している。

 世界の空港では、過密ダイヤを精密レーダーやコンピューターで制御して航空機を安全に誘導したり、数え切れないほどの離着陸を管理したりしているが、動物が入り込んで滑走路が一時閉鎖されることもある。

 日本の羽田空港でも今年10月に乗客が預けた飼い犬のプードルが逃げ出して滑走路に入り込み、トラブルとなった。

 基本的に滑走路は周辺も含めて障害物がなく、入り込んだ動物は逃げたい放題で、捕まえるのも一苦労だ。秒単位で飛行機の離着陸を精密に管理する一方で、一匹の動物によって何便もの航空機に影響が及ぶのが実情となっている。

企業や政府などが躍起になるサイバーセキュリティーでも盲点はいろいろある。

 何億円、数十億円をかけて構築したセキュリティーシステムで安全性を担保したとしても、ビルの出入り業者にふんした犯罪者がオフィスエリアに入り込む可能性もある。パソコンや端末所有者がログインをしたまま席を離れてしまえば、USBなどを使ってウイルスを仕込むことは意外とハードルが低い。

 メールによるウイルス感染や、ネットワークを介したシステム侵入などには神経をとがらせているが、個人で使うスマートフォンの利用も落とし穴はある。安全性が低いとされる一般に開放された無料Wi−Fiをその利便性から活用する人も多い。

 しかし、個人のスマートフォンとはいえどもさまざまなIDやパスワードが利用されるケースもあり、こうした情報を踏み台に基幹システムへのアクセスを試みる悪者もいるのだ。

 また、誰もが安心して食べている食堂や宅配弁当を悪用して食中毒を引き起こせば、企業や政府機関の業務に大きなダメージを与えることもできる。

最新鋭の技術やシステム、組織にもさまざまな盲点が存在する。悪意による侵入、破壊行為だけでなく、虫や動物の行動で機能不全に陥ることもある。今後も世界では想像もしないようなトラブルが起きそうだ。

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