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「か……め……は……め……波ー!!」

相手にビームを当てて戦う「HADO」。フィールドを囲う壁画との距離関係で、プレーヤーの位置を計算する

掛け声と共に繰り出されたビーム状の攻撃は、強敵はおろか自動車や山まで吹き飛ばす。人気マンガ「ドラゴンボール」シリーズで主人公の孫悟空らが繰り出す必殺技だ。この必殺技を現実世界でも体験できないか――。そんなアイデアから生まれた拡張現実(AR)ゲームを開発する日本のスタートアップが、海外支社設立を決めた。マンガから着想を得た先端ゲームが国境を越え、海外に飛び出す。

開発するのは、東京タワーにほど近いビルにオフィスを構えるmeleap(メリープ、東京・港)だ。ベンチャーキャピタル(VC)のインキュベイトファンド(東京・港)などから第三者割当増資で3億円を調達した。メリープが開発するのは、「かめはめ波」のような攻撃で相手と戦うARゲーム「HADO」だ。

ゲームは基本的に6人が参加する。3対3のチームに分かれ、それぞれがARゴーグルと腕の動きを認識するデバイスを手首に取り付ける。手を振りかざすなどのアクションを起こすと相手を攻撃できるビームが飛び出す。制限時間は80秒間。フィールドを動き回ることで相手の攻撃をかわしながら、ダメージを与える――というゲームだ。

「ドラゴンボールのかめはめ波を打ちたいと思ったのが開発のきっかけですね」と語るのは福田浩士最高経営責任者(CEO)。東京大学大学院を修了後、リクルートを経て2014年にメリープを立ち上げた。「スポーツは、純粋に体で競い合うアナログスポーツに始まり、今は工業スポーツまできた。次はIT(情報技術)を融合し、世界を沸かせる『テクノスポーツ』にしたい」とHADOにかける思いを打ち明ける。

今回投資を決めたインキュベイトファンドとの関係は深い。8月には、起業家と投資家の合同合宿イベント「インキュベイトキャンプ」に参加。18チームがビジネスプランを練り、完成度を競うプレゼン大会では、福田CEOはインキュベイトファンドの和田圭祐氏とペア組み、優勝。和田氏はその場で「投資をしたいと思う」と即断し、福田CEOのビジネスプランを絶賛した。

今回の調達資金で、メリープは米国とマレーシアに支社を開設する計画だ。すでに世界9カ国で店舗を展開しているが、さらに現地での店舗開拓やサポートの強化につなげたい考えだ。12月には、HADOの世界大会の開催が決まっている。全世界で人気を誇るドラゴンボールのように、「海外で愛されるゲーム」へ――。スタートアップの世界展開が本格的に始まった。

(企業報道部 矢野摂士)

配信2017年11月9日 16:25
日本経済新聞
https://r.nikkei.com/article/DGXMZO2329820009112017000000