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11月11日 15時50分

ある日突然、会社の電話が鳴り止まなくなった。ネット上にひぼう・中傷が多数書き込まれるネット炎上が、深刻なバッシング、「ネットリンチ」に。
どのように起きて、どう広がったのか。

突然の嫌がらせ

のどかな田園風景が広がる北九州市八幡西区。

従業員およそ10人の小さな建設会社で異変が起きたのは、10月11日のことでした。

事務所の電話が鳴り止まなくなったのです。

「おやじをだせ」「なめるな」いきなり罵声を浴びせるもの。無言。

電話は、その日だけで100件近くに上り、その状態が数日間続きました。

社長の石橋秀文さんは当時のことを次のように振り返ります。

「夜中の2時とか3時とか朝方まで着信がありました。会社の業務のことかもしれないので、電話に出ないわけにはいかないんですが、対応しきれず、従業員に電話に出ないでいいと指示せざるをえませんでした」

突然、始まった会社への嫌がらせ。ほどなく、その理由がわかりました。

無関係なのに

きっかけは、神奈川県内の東名高速道路で、ワゴン車がトラックに追突され、夫婦2人が死亡した事故でした。

電話が掛かり始めた前日の10月10日、事故は、別の乗用車がワゴン車の進路を妨害して停車させたことが原因だったとして、乗用車を運転していた男が逮捕されたのです。

逮捕された男は、建設作業員の石橋和歩容疑者。(現在は被告)

一方、この会社の名前は「石橋建設工業」。

「石橋」という名字が同じで、容疑者の住所が会社に近いという理由で、関係のない2つがネット上で結びつけられ、石橋さんが容疑者の父親だと言う、デマが広がっていたのです。

瞬く間の拡散

デマはどうやって拡散したのか。

ツイッターやネットの掲示板の書き込みをさかのぼって確認しました。

すると、ツイッターでは、遅くとも10月11日の午前11時すぎには、「父親が立ち上げた会社に勤務している様」という投稿とともに、会社の住所や電話番号などが書かれているのが確認できました。その投稿はその日のうちに次々とリツイートされ、拡散しています。

一方、掲示板では11日の午前7時半すぎ、「容疑者の親って八幡西区で建設会社社長してるってマジ?」と書き込まれます。

その後、午後2時前には「石橋建設工業(株)に電話してもコールはなるが誰も出てくれない」と実際に一部の人が電話をかけ始めたことがうかがえます。

そして、午後6時前、会社の住所や電話番号などが書き込まれ、翌日の昼すぎには、公開していない社長の自宅の住所までが明らかにされました。

同様の書き込みは次々と複製され、複数の掲示板で投稿されていきます。
(リンク先に続きあり)