天皇、皇后両陛下は16日、鹿児島県の屋久島を訪問、口永良部島(くちのえらぶじま)の噴火被災者を見舞った後、沖永良部島(おきのえらぶじま)に入られた。2泊3日の日程で、与論島を含めた離島3島を巡られる。

 天皇陛下は譲位の意向を示した昨年8月のお言葉で、遠隔の地や島々への旅を「象徴的行為として、大切なもの」と表現しており、島々への思いを再確認される旅となる。

 両陛下は同日、屋久島の屋久島町総合センターで、平成27年5月の爆発的噴火により一時、離島を強いられた口永良部島の被災者5人とご懇談。懇談会場前には口永良部島民の半数に当たる約50人が朝のフェリーで駆けつけ、「噴火に負けず頑張っています」との横断幕を掲げて出迎えた。車を降りて歩み寄った両陛下は「無事で良かった」と一人一人に声を掛けられた。

 噴火当時、島民らはフェリーのほか、県や海保のヘリで屋久島などに逃れ、死者は一人も出なかった。

 ご懇談では、島東部・湯向(ゆむぎ)地区の漁師、畠喜人(よしと)さん(60)が自分の漁船で避難したことを聞き、天皇陛下は「本当に大変でしたね」とご慰労。

 荒木耕治・屋久島町長からは全員の避難を夕方までに終えたとの説明があり、陛下は「普段の訓練が非常に大事だということを感じたでしょうね」と述べられた。家屋の被害を尋ねた皇后さまに、消防団副分団長の貴船(きぶね)森さん(45)が土石流で埋もれた家屋もあったことを伝えると、「人が犠牲にならなくて良かったですね」と気遣われた。

 皇后さまが避難中に子牛1頭を失ったという山田ヨリ子さん(74)を「残念でした」と慰められる場面もあり、山田さんは懇談後に「うれしかった。仕事をしながら思い出すと思う」と話していた。

 両陛下は側近から計4度促され、ようやく席を立たれた。ご懇談時間は予定を大幅に過ぎ、約25分間に及んだ。陛下は最後に全員に向かい、「これからの良い生活が確保されるとよろしいですね」と語り掛けられた。皇后さまも「気をつけてお帰りください」とねぎらい、退出された。

 両陛下は17日、与論島で沖合に浮かぶ「百合ケ浜」を見学、地元の舞踊を鑑賞される。18日は沖永良部島の小学校で黒砂糖作りを視察後、帰京される。

産経新聞:http://www.sankei.com/life/print/171116/lif1711160057-c.html