夜間定時制高の給食存続を 来年度廃止方針 撤回求め声明
2017年11月19日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/chiba/list/201711/CK2017111902000138.html

 夜間定時制高校の給食を2018年度から廃止する方針を示した県教育委員会に、生徒の保護者や教員らの団体が方針の撤回を求める声明を出した。勤労青年の減少やコンビニの増加などを廃止の理由に挙げる県教委に対し、生徒側は「生活が困窮した生徒の支援になっている」と存続を訴えている。 (村上豊)
 県教委の職員六人からなる給食のあり方検討チームは十五日、「給食を廃止し、(代わりに)夕食を提供することが適当」とする最終報告をまとめた。
 廃止の理由として、昭和三十〜四十年と比べて勤労青年が減少して給食の需要が低くなった、中途退学者や不登校の経験者、外国人ら生徒の多様化が進んでいる、コンビニやファストフード店の増加で食事を買う傾向が強まった、などを挙げた。
 給食は一食三百円程度の負担で食べられる。十七ある定時制高校のうち、現在は五校で試験的に廃止。県の補助額は、継続中の十二校で年間約七千万円、利用率は49%という。給食の全面廃止・未実施は神奈川県など六県しかない。
 試験廃止中の五校では、コンビニや仕出しの弁当などの夕食に切り替えた。負担額は一食四百三十円程度で、利用率は28%と低い。生活困窮者には一食当たり二百円を補助しているが、対象の二百二十二人のうち申請は四十人にとどまる。
 県内の定時制高校の生徒数は、一九五六(昭和三十一)年度に約七千三百人いて、多くがフルタイムの勤務だった。だが二〇一六年度は約二千九百人(夜間は約千八百人)に減少。働いている生徒は全体の半数程度で、そのうち正社員は数%、アルバイトが大半を占める。
 県教委の方針に対し、生徒や教員、保護者ら二十数人からなる任意団体「千葉県夜間定時制高校の給食を守る会」は、非正規労働者を含めて生徒の半数が働いている、給食の時間はコミュニケーションの場、生活困窮者にとってのエネルギー源、といった理由で存続を訴える。
 市川工業高校で十月に行ったアンケートでは、回答した生徒八十七人のうち84%が継続を希望。「なければ経済的に困る」「コンビニで買うとなると高い」などの意見があったという。
 守る会は十七日、存続を求める声明を発表。県庁での記者会見で、世話人を務める船橋高校教諭の吉永馨さんは「県教委は、給食が経済的に厳しい生徒の生活支援になっている実態を知らない。廃止の理由は予算の削減としか思えない」と話した。
 守る会は一五年十二月から活動。県議会に給食の存続を求める請願を出し、継続審査となっている。