http://www.sankei.com/smp/west/news/171121/wst1711210100-s1.html

 山中に不法投棄される産業廃棄物を探し量を測定するため、三重県は小型無人機「ドローン」の運用を始めた。画像解析ソフトで廃棄物を立体的に把握するシステムを活用した全国初の試み。大阪、名古屋の都市圏に近い三重県は県外からの不法投棄が多く、平成27年度は6811トンと全国で最悪だった。県は「鳥の目」により、測量の負担の削減だけでなく抑止効果も期待している。

 県廃棄物監視・指導課によると、不法投棄の通報は匿名や場所があいまいなケースもある。また、トラックの荷台から傾斜の急な谷下に産廃物を落とすケースが目立つという。通報は年間約30件といい、そのたびに職員が危険も伴う道を歩き調査してきた。調査は10人がかりで丸1日を要することも珍しくなく、担当職員は「急斜面の樹木をつかんで体を支えながらメジャーで測ったり、ごみの山に登ったりするので、生傷が絶えない」と話す。

 カメラを搭載したドローンと画像解析ソフトの導入は、こうした現場職員からの提案がきっかけだ。地理情報のソフトウエア会社「東洋テック」(三重県菰野町)に、ドローンの操縦方法やソフトを使った画像解析の研修を委託した。

 上空からさまざまな角度から撮影した画像は3次元データとなり、正確な体積などが計測できる。県の担当者は「作業人数も時間も地上から行くのと比べて半分以下になる」と話す。

 産廃物の不法投棄や不適切な管理をしている業者に対する行政指導でも、作業は劇的に効率化されるという。悪質な業者は撤去作業の進行状況をごまかすため、廃棄物の山をならすなどして形を変えることがあるが、ドローンの画像解析では一瞬で体積を計測できるからだ。

 今月から運用しており、今後はドローンによるパトロールも実施し、不法投棄を抑止する考えだ。同課は「立体図の精度は驚くほど正確で、ドローンは不法投棄根絶の切り札になりえる。県内外にノウハウを伝えられるよう、技術と経験を積んでいきたい」としている。