アポロ信者のそこの君、
外へ出て空を見上げてみよう。

高度110キロの彼方。
大きさ数メートルの指令船がマッハ5で飛んでいる。
その様子を想像してみよう。

噴射していないので果たして見えるのかどうか。
運が良ければ太陽光線の反射で見えるかもしれない。星屑のように。

さあ君は着陸船のパイロットだ。
手元にあるアクセルと噴射ノズルをすべて手動操作して
指令船速度マッハ5まで加速しドッキングしなければならない。
立ちながらの操縦であり、船内にはあと一人しかいない。

もちろんぶっつけ本番だ。
アクセルもノズルも初めての感触である。
そして重要なことは、燃料の余裕はさほどないということだ。

君は着陸台から発進する勇気を出せるかどうかを
真剣に考えたほうがいい。
ロケットエンジンにやり直しは効かないから。

そもそも加速上昇する船内から指令船が見えるのかどうか、
よくよく考えるべきである。