太陽光発電で麻薬原料の収穫率向上 アフガン過去最大に
2017年11月26日17時3分
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アフガニスタン東部ジャララバードのケシ畑で作業する農民。2014年撮影=AP

 アフガニスタンでヘロインなどの原料となるケシの栽培が今年、大幅に拡大した。国連薬物犯罪事務所(UNODC、本部・ウィーン)の調査で判明した。
推定栽培面積は前年比63%増の32万8千ヘクタール、収穫量見込みは87%増の9千トンとなり、いずれも過去最大。アフガンは世界の麻薬供給源として問題になってきたが、状況は悪化している。

 調査はUNODCがアフガン政府と共同で行い、15日に発表した。アフガンは世界最大のケシ産地で、栽培が貧困を抜け出す道となり、
反政府勢力タリバーンが資金源とするほか、過激派組織「イスラム国」(IS)なども関与しているという。栽培は長期的に増加傾向で、2000年から推定栽培面積は4倍、収穫量見込みは2・75倍に増えた。
 調査では、アフガン当局が反政府勢力への取り締まりを大都市中心にしたことで、反政府勢力が地方で伸長したことも増加の一因としている。
今年は灌漑(かんがい)など栽培に必要な施設への太陽光発電の導入が広がって収穫効率が上がり、結果として安価で質の高い麻薬生産につながっている。

 各州当局の取り組みでケシ栽培を根絶した面積も750ヘクタールと前年から倍増したが、栽培規模はその努力を追い越す勢いで伸びた。
一度ケシ栽培をやめた地域でも、反政府勢力の伸長や開発の遅れなどで栽培が再開されているという。
 UNDOCは、栽培拡大による麻薬の流通増により、欧米の消費地に至るまでの各地で、テロ組織などが新たな資金源を得る恐れを指摘する。
 調査には日本と米国が拠出した資金が使われている。(ウィーン=吉武祐)