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1969〜1972年、女子学院のほかに麻布、灘、筑波大学附属駒場(当時、東京教育大学附属駒場)と筑波大学附属(同、東京教育大学附属)、西、旭丘、国立、小石川、長野、札幌南、戸山、水戸第一、東葛飾では高校生運動が盛んで、学校の管理体制に反発して、ストライキ、授業ボイコットあるいはバリケード封鎖が行われている。ストなどが行われず平穏だった学校でも、生徒側の要望を受け入れ、制服は廃止され、私服通学が認められた。こうした歴史的経緯が今日につながっている。一方で、生徒側の要望とは関係なく私服通学を認めた学校もある。

 上記以外で、私服通学可のおもな高校は次のとおり。

■全国のおもな私服通学OKの高校

【北海道】 函館中部、小樽潮陵、岩見沢東、旭川東、帯広柏葉、◎函館ラ・サール

【宮城】 仙台第一、仙台第三、宮城第一、石巻、◎東北学院榴ケ岡

【埼玉】 浦和西、川越、熊谷、◎立教新座、◎慶應義塾志木

【東京】 新宿、立川、三鷹、井草、北園、◎恵泉女学園、◎早稲田大学高等学院

【神奈川】 希望ケ丘、横浜国際

【長野】 上田、松本深志、飯田、諏訪清陵、野沢北、飯山

【京都】 紫野、◎同志社、◎同志社女子、◎立命館

【大阪】 天王寺、池田、◎桃山学院

【兵庫】 芦屋、尼崎北、◎神戸女学院

(◎は私立、□は国立、無印は公立)

「生徒同士による行きすぎ是正、センスの向上に信頼をおくのが、本当のはず」

 立教女学院は開校以来、私服通学を認めている。小川清院長(当時)がこう話している。

「スカートが短すぎるなど、自由であるために、いろんなトラブルが絶えないが、それならいっそ制服にしてしまう、というのでは教育にならない。生徒同士による行きすぎ是正、センスの向上に信頼をおくのが、本当のはず。制服がないほうが自然なのだ」(サンケイ新聞、1971年6月21日)。

 進学校は自由放任でも大丈夫だ。非進学校は厳しい校則を課して生徒を管理、統制しないと秩序が保たれない、という考え方がある。勉強ができる子、勉強が苦手な子に対する1つの見方だが、これは果たして妥当だろうか。いかなる学校においても生徒に「信頼をおく」という発想は、いまの時代、難しいのだろうか。

 黒髪強制と私服通学のコントラストを見せつけられて、いかんともしがたい不条理さを覚えた。

終り