http://www.sankei.com/west/news/171129/wst1711290017-n1.html
 コウノトリ(国特別天然記念物)の飛来が相次いでいる島根県雲南市で、コウノトリのための人工巣塔が28日、
市立西小学校の校庭にお目見えした。
コウノトリが住める地域づくりのサポートに取り組んでいる同校児童らは巣塔の設置を機に、さらなる活動を展開することにしている。

 人工巣塔は、高さ約12メートルで上部に円形の巣台が付いている。
兵庫県豊岡市でコウノトリの野生復帰を支援しているNPO「コウノトリ湿地ネット」が、営巣地のある雲南市・春殖(はるえ)地区の
住民自主組織に寄贈。市などと協議した結果、同校の校庭に設置することになった。

 同校でこの日、巣塔設置のセレモニーが行われ、児童や教職員、住民自主組織「春殖地区振興議会」や
湿地ネットのメンバーらが参加した。
巣塔が除幕されたあと、児童の代表が「大きくなったときに、コウノトリが羽ばたいているような町にしたい」と挨拶。
各学級の代表児童らが巣の素材となる枝を置いた巣台が、高所作業車で塔の上に取り付けられた。

 雲南市では、今年4月にコウノトリのペアが営巣して4羽が孵化(ふか)。
ハンターの誤射で雌の親鳥が死ぬなどアクシデントもあったが、今月上旬にも数羽が確認されるなど、
今もコウノトリの飛来が続いている。

 同校によると、今年8〜9月、雄の親鳥「げんきくん」が学校近くに飛来し、今月上旬にも再び姿を見せた。
誤射の後、コウノトリの「応援プロジェクト」に取り組んでおり、今後は巣の材料集めや冬場のエサづくりなど
さまざまな活動に取り組んだり地域に協力を求めたりする考えで、児童たちは「巣塔で営巣してほしい」と期待している。

 和田邦子校長は「コウノトリを通じて環境の大切さや地域への誇りを学ぶ機会になればうれしい」と話している。