http://www.sankei.com/smp/sports/news/171202/spo1712020036-s1.html

 長野市のボブスレー・リュージュ施設「スパイラル」が2日、今季の運営をスタートさせる。市は多額の維持管理費や利用者数の少なさから、来年度以降は製氷を休止し、競技施設として活用しない方針だが、2026(平成38)年の冬季五輪招致を表明する札幌市が、長野市などとの分散開催を検討する考えを表明。長野市は、札幌市から正式な打診はないとしており、施設の再活用をめぐり、今後、混乱を招く可能性がある。

 整氷作業は市の委託業者が先月下旬に始めた。埋設したパイプにマイナス17度の不凍液を流してコースを冷却。表面の氷をブラシでならし、水をまいてさらに厚くした。2センチの氷を均一に張るには約5日かかったという。

 施設は2日にテスト走行を行い、今季の運営が終了する来年2月5日まで、平昌五輪に向けた日本代表の合宿や、ボススレー全日本選手権の開催などが予定されている。

 標高差113メートル、総延長1700メートルのコースは、10年の長野五輪開催時に完成し、3種類のそり競技ができる。ただ、約20年経過しているため設備の老朽化が激しく、市は今年4月、今後10年間の維持管理費が約21億3千万円に上るとして、今年度を最後に製氷を行わない方針を決めた。

 ところが、札幌市の秋元克広市長は11月30日の記者会見で、そり競技について、長野市など北海道外での分散開催を検討する考えを明らかにした。競技施設として再開する場合、コースの修繕や冷却設備の再整備が必要となり、多額の費用が見込まれる。

 長野市は、1日時点で札幌市から打診や説明はないとしている。市スポーツ課の下平嗣課長は産経新聞の取材に、「具体的な話が来ていないのでコメントできない。札幌市は可能性の一つとして挙げただけだろう」との見方を示した。