国語辞典シェア1位の「三省堂」(東京都千代田区)の辞書の編集委員らが、その年を代表する言葉を選ぶ「今年の新語2017」の選考発表会が3日、東京都内で開かれ、ライバルの「ユーキャン新語・流行語大賞」(自由国民社主催)と同じ「忖度(そんたく)」が「大賞」に選ばれた。【大村健一/統合デジタル取材センター】

 同賞は「辞書のプロ」が「今後の辞書に単語や新たな用例が掲載される可能性があるか」という言葉としての定着度を重視して選ぶ。このため、過去2回は、その年に広く流行した言葉を選ぶ「ユーキャン新語・流行語大賞」と異なる結果となったが、今年は初めて両賞の最高賞が一致した。

今年の新語で大賞となった忖度についてさまざまな用例を紹介する選考委員と、聴き入るお笑い芸人の水道橋博士さん(左から2人目)=東京都千代田区の一橋大学一橋講堂で2017年12月3日、大村健一撮影

ここ3年の「今年の新語」と「ユーキャン新語・流行語大賞」の比較。今年は初めて「忖度」の大賞が一致した
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選考発表会には、選考委員を務めた三省堂の辞書の編集委員3人に加え、特別ゲストとしてお笑い芸人の水道橋博士さんも出席。ツイッターやネット上で「新しい使われ方」をしている言葉を募集し、2452通の応募の中から、トップ10を選んだ。

 「忖度」は森友、加計学園問題で話題となったキーワード。「今年の新語」の発案者で選考委員を務めた飯間浩明さんは「できれば(ユーキャン新語・流行語大賞と違う)独自性のあるものを選びたかったが、今年に限っては『事故』のようなもの。忖度を抜きにランキングが成り立たなかった」と説明。飯間さんによると、忖度は、昔から「母の心中を忖度する」など相手の気持ちを推測する意味で使われたが、20世紀末ごろから「有力者の気持ちを推測して気に入られるようにすること」を表す用例が出始めた。そして、今年に入って「忖度が働く」「忖度がはびこる」など文法的にも新しい使われ方が急増したことが「今年の新語」の大賞とする決め手となったという。

■「インスタ映え」は入賞せず、「マジ卍」は選考委員も「意味がわからない」

 2位は「影響力のある人物」を示す「インフルエンサー」、3位は「インパクトのある言葉」という意味の「パワーワード」で、ともにネット上で多く使われる言葉。新語・流行語大賞で入賞した「フェイクニュース」は5位だった。一方、忖度とともに新語・流行語大賞で大賞となった「インスタ映え」は「インスタグラム」と「映え」の複合語で「使われ方に目新しさがない」としてトップ10には入れなかった。

 また、選考でトップ10に入れるかどうか議論が盛り上がった「卍(まんじ)」「プレミアムフライデー」「熱盛」の三つの言葉を特別に「選外」として発表した。

 「卍」は、SNS上で若い世代を中心に「マジ卍」などと多く使われている。だが、それぞれ、どんな意味かを把握するのが難しい。選考委員の小野正弘・明治大教授は「例を集めれば集めるほどいろいろな意味が出てきて、分からなかった。選考委員が卍になった」と「選外」とした経緯を説明した。

 今年の新語は2014年、飯間浩明さんがツイッターを通じて「今年からの新語」を募集したのが原形。反響が大きかったため翌年から三省堂が主催し、今年で3回目。4日に特設サイト(http://dictionary.sanseido-publ.co.jp/topic/shingo2017/)で選考委員がベスト10の言葉について辞書風に解説した「語釈」と選評を公開する。

配信2017年12月3日 19時15分(最終更新 12月3日 20時33分)
毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20171204/k00/00m/040/020000c

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