0001泥ン ★
2017/12/05(火) 18:52:07.31ID:CAP_USER9https://zuuonline.com/archives/181788
https://cdn.zuuonline.com/600/400/knqFCJiNNSbcXYDGcRoIDebFrxmvgITg/1f71928a-b3c3-4c79-a2cf-bfbcf149dcf0.jpg
11月28日、帝国データバンクは「2017年 後継者問題に関する企業の実態調査」と題した調査を行い、その結果を公表した。調査対象企業の約3分の2が後継者不在の状況となっており、事業承継に関わる問題の深刻さが浮かび上がっている。また、サービス業や建設業では後継者不在率が7割強となっており、事業承継の問題は業種によっても濃淡があるようだ。
全体の3分の2が後継者不在 後継者問題を抱える企業は増加傾向
調査は帝国データバンクの企業データベース等のから、2015年以降の後継者の実態について分析可能な33万4117社を対象としている。2011年、2013年、2016年に続き、4回目の調査となっている。
対象企業全体の後継者の決定状況について調査したところ、全体の約3分の2にあたる66.5%が「後継者不在」となっている事が明らかとなった。後継者不在率は2016年の前回調査から0.4ポイント上昇している。後継者不在企業は徐々にではあるが、着実に増加傾向にあり、社会的な問題となっている。
後継者不在率を社長の年齢別に見ると、「30歳代」が最も高く92.4%となり、「50歳代」で74.8%、「60歳代」で53.1%、「70歳代」で42.3%、「80歳以上」で34.2%と社長の年齢が高くなるほど、不在率は低下する傾向が見られた。社長の年齢が高くなるほど、後継者問題は喫緊の課題となり、その対策を済ませている企業も増える為である。ただ、「60歳代」で半数超、「80歳代」でも3分の1超の企業が後継者不在の状況であり、その水準は決して低いものではない。
業種によって後継者不在率に差 1位と最下位では10ポイント以上の開き
後継者不在率には業種によっても差が見られる。業種ごとの後継者不在率のランキングは次の通りとなっている。
順位 業種/後継者不在率(2016年)
1位 サービス業/71.8%(71.3%)
2位 建設業/71.2%(70.9%)
3位 不動産業/69.0%(68.9%)
4位 小売業/67.4%(66.7%)
5位 卸売業/64.9%(64.9%)
6位 運輸・通信業/64.0%(64.2%)
7位 製造業/59.0%(58.7%)
8位 その他/55.4%(54.4%)
後継者不在率が最も高い業種はサービス業となり、その比率は71.8%となった。建設業の71.2%がそれに続き、上位2業種の後継者不在率は7割超えとなっている。3位の不動産業のも69.0%と高く、上位3業種は全て前年調査から後継者不在率が上昇する結果となっている。下位の製造業やその他と比較すると、10ポイント以上の差がついており、後継者不在率には業種による差も大きい事が分かった。4位の小売業も不在率が67.4%と全体平均を上回っているが、こちらは前年調査から不在率が1ポイント低下している。
建設業やサービス業は常々高齢化や人手不足が指摘されており、業界内の競争も激しい。そうした環境が後継者不足に拍車をかけるという悪循環を生んでいる可能性がある。
「後継者あり」企業の内、同族外後継者は3分の1
「後継者あり」と答えた企業について、後継者の属性を分析したところ、「子供」が最も多く、その割合は40.5%となった。「子供」の割合が4割を超えたのは調査開始以来初となる。「非同族」が31.4%でそれに続き、「親族」は20.6%、「配偶者」は7.5%となった。企業の後継者のうち、同族外から選ばれるケースは約3分の1であるようだ。
調査対象企業の内、現社長が「同族承継」の企業は39.4%と4割近くに上り、「創業者」である企業も36.6%ある。こうした企業は後継者を同族へ絞る傾向が強く、「後継者あり」の企業で非同族を後継者に選んだケースは、現社長が「創業者」の場合では15.6%、「同族承継」の場合には3.7%となっている。後継者不在問題の原因の一つに、後継者を同族に限定する事によって、選定における選択肢の幅が狭くなっている事があると見られる。
後継者不在問題は非常に深刻な社会問題として認識されつつある。経済産業省によると、後継者問題等による中小企業の廃業が進むと、2025年頃までの10年間で約650万人の雇用、約22兆円のGDPが失われる可能性があるという。政府・与党では2018年度の税制改正で中小企業の事業承継を促す税制優遇策を拡充する方針を固めており、その対策が急がれている。
今回の調査では後継者不在問題には、業種による濃淡がある事も明らかとなっている。画一的な政策だけでなく、業種ごとの問題点を業界全体、国全体で考えていく事も必要かもしれない。(ZUU online編集部)