住宅ローンならどの銀行も貸してくれる

「若くして自分の城を持て」
「借りた家に住んでいるようではダメだよ」

社員によくこう言うんです。

不動産投資の1番簡単な方法は自分の家に投資することです。たとえばいい物件に出合ったり、素晴らしい投資先を見つけたとして、5000万円や1億円の投資資金を誰が貸してくれますか? ほとんどの銀行は絶対に貸してくれません。

今は金融緩和と思っている人が多いですが、実際には大変な金融引き締め状況にあります。金利がすごく安くなった半面、貸し倒れリスクが取れない金融機関は、貸付先を絶対に潰れないところに絞り込んでいる。

よほど資産があるか、収入がある人でなければ融資してもらえない。しかし、自分の家を持つ場合は違います。唯一、住宅ローンだけは借りられる。家を担保にする住宅ローンは貸し倒れリスクが低いので、どこの金融機関も前向きに取り扱っている。今は全額が借りられる時代です。しかも1%台の低金利で、35年もの長期で借りられる。こんなおいしい時代はもうやってこないですよ。

超低金利という時代環境の恩恵を受けやすい投資をすべきであって、住宅ローンはその恩恵の最たるものです。銀行からお金を借りて、まず自分の家を建てる。お金が貯まったら家を建てようなんて思っていたら、家なんて永遠に建ちません。

自分の家を建てるとき、できれば1部屋を貸し出して家賃が取れるような造りにするといいと思います。昔、1つの住区でありながら入り口が2つあって水道・電気も2つに分けられる構造のマンションを造って販売したことがあります。買った人は皆大喜びで、親子2世帯で暮らす人もいれば、小さい部屋を貸し出して家賃収入を得てローン返済の一助にする人もいた。子供が独立して家族が減ってきたら、自分が小さい部屋に移って大きい部屋を貸すこともできます。

実用(暮らし)と運用が同時にできる家を持てば借金の返済は楽になるし、次の投資にも向かいやすい。まず家を1軒持てば、自宅資産プラス含み資産を評価して次の融資が受けられます。1軒目のローンをきちんと返済していれば信用もつくから、次のローンは組みやすい。

そもそも家は最初の1軒を持つのが大変で、2軒目は少し楽になります。3軒目はもっと楽になるし、10軒目はもっともっと楽。家をたくさん持つと「大変だね」と世間の人は言いますけど、逆なんです。

家は持てば持つほど投資リスクが下がっていく

たとえば1軒の家を2軒に増やすのは最初の1軒を持つよりも楽だし、10軒の家を持っている人がもう1軒増やすのはもっともっと楽にできます。裏を返せば、投資リスクがそれだけ下がるということです。従って、持てる人はますます持つようになって、持てない人はいつまでも持てないのです。

若くして資産を持った人ほど、資産を増やしやすい。私がそうやって唱えるものだから、ウチには3軒、4軒とマンションを持っている社員がたくさんいます。合計すれば億を超える資産持ちもいると思いますよ。

81カ国・地域を見て回った結論は「東京の不動産は安い」

長期的に見れば、日本の不動産価格はまだ割安です。私は世界81カ国・地域を見て回りましたが、同じ規模の住宅の値段で比べると上海、台北、香港、ロンドン、パリ、ニューヨークあたりは日本よりも高い。バブルのときは日本の不動産は高くて、世界は安かった。ところがバブル崩壊後は日本の不動産価格はずっと下がり続けて、少し上がって現在の状態です。世界の不動産はリーマンショックで少し下がりましたが、それでも比較のうえでは同規模の世界の都市と比べて東京の不動産は安い。

もちろん、割安だからといって、今後、東京の不動産価格が万遍なく上がるわけではありません。将来、資産価値が上がる不動産かどうかを見極めるポイントは人の増減。人が増えているところは上がる。不動産投資の第一歩としては、人が増えているエリアに自分の城を構えることをお勧めします。

アパグループ代表●元谷外志雄(もとや・としお)
石川県生まれ。慶應義塾大学経済学部通信教育部入学とともに、小松信用金庫に入庫。27歳で独立し、アパグループの前身「信金開発」を設立。国内有数の都市開発企業へ成長させ、ホテル事業では国内最大級の規模となる。著書に『増補版 理論近現代史学』(扶桑社)など。

(構成=小川 剛 撮影=平松唯加子)